水神様のお気に入り【原神】

水神様の御心は ページ11

sideフリーナ


気が付いたらAが僕を横抱きにして運んでいて…人目がない所を通ってくれていたとはいえ恥ずかしいから降ろしてくれって頼んだ。その時に……思わず頬を叩いてしまったけれど、何時もみたいにちょっとため息ついて許してくれるんだろうなと思っていた僕は腕を掴まれてそのまま壁に押さえ付けられる



「……え？」


……一体彼は何をしているのか？僕はどうしてこんな事されているのか？…怒ってる事だけは分かるよ。うん、だけどこうして身動きを封じられるのは初めてでどうしたらいいのか分からない。怖くて顔を上げられずにいたら、Aの右手が僕の顎を掴んで無理矢理上を向かされた



『水神様ともあろうお方が、たかが人間の男1人にこうして身動きを封じられるとは……些か滑稽ですね？』


「なっ…それはキミが僕の両手を拘束してるからだろう！」


『えぇそうですね、ですが私が貴女の両手を拘束しているのは左手だけ、簡単に振り解けるのでは？』



そう言うAは笑ってはいるけど…目が笑ってない。振り解こうと身体を捻れば足の間に膝を入れられて、更に身動きが取れなくなる……ちょっと待って……これじゃ何にも出来ないよ


「……な、何も…出来ないんだけど…」


『へぇ？そうですか……身体が動かせないのであれば、元素力を使って吹き飛ばしたりしたらどうです？』


「そんな事っ」


『出来ませんね？』


出来るわけが無い、僕が言い終える前にAは言った。僕の言葉が分かっていたかの様に……彼はそう言うと顎を掴んでいた右手を離し僕の心臓の当たりに人差し指をトンと当てる


『……今貴女様をこうしているものが私でなければ貴女はこの後どうなるか……分からない訳はないですね？………フリーナ様、どうか今後はこのような事はお止め下さい…今日は間に合ったから良いものの……もしもの事があってからでは遅いのです。神の目を持たぬ人間が元素力の力で反撃されては最悪死んでしまう、だから貴女は元素力では抵抗出来ない………けれど、こうして押さえ付けられてはご自身の力だけでも抵抗は出来ないでしょう？…私が常々お傍にいればこのような事にはさせませんから』


そう言ってふと微笑んだAに僕は小さく苛立ちを覚える。傍にいれば、って…キミは居なくなる事が多い癖に…


「……だったら…」


…そんな事を言うくらいなら…もっと、もっと僕に構ってよ…他の奴なんて気にしないで…僕の事をもっと見て…



…僕から離れないで

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