仰せのままに ページ1
正義を象徴とする国、フォンテーヌ…今日もまた朝日が登り、変わらぬ1日が始まろうとしていた
『さて…』
燕尾服に近しい服装に着替え白手袋を嵌めた1人の男はふと息を吐く。彼には朝一番の大仕事が待っていた。少し歩いた後にある寝所の扉を開け放ち、遠慮なく中へ歩み進める。そして寝具の前で立ち止まると、毛布に手を掛け容赦なくソレを引き剥がした
『朝ですよ。フリーナ様』
毛布を退けた寝具の上にはフリーナ、と呼ばれた少女が眉を顰めていた。その瞼は未だに閉じたままで少女は男の声を聞き小さく唸り声をあげる
「…ヤだ…まだ寝る」
『ヤダじゃないです。起きて下さい、ほら今日は面白い裁判があるんでしょう』
「むぅ…イヤだって言ってるじゃないか…もう少し寝る」
『ダメです』
嫌だイヤだと枕を抱き締め首を振る少女だが男は依然として肯を示さない。毎朝繰り返すこのやり取りに慣れているからだろう、1度でも許してしまえば明日の朝からもその手を使って来るのだから許可出来ないのだ
「…っ……さっきから聞いてればダメダメって!僕の言う事は絶対だって言ってるだろう!」
『……』
「僕はまだ寝てたいんだ!だからまだ寝る!……キミは出て行ってくれ!」
そうすれば…彼女はこうして起き上がる。男は機嫌悪く言った彼女の命令に従い部屋から出て行こうと踵を返すが、服を引かれ動きを止めた
『……どうしました。出て行けと仰ったのは貴女ですよ』
「…だ、だってキミ……何時もは何言っても、僕が起きるまで出て行かないじゃないか……本当に出て行くとは思わないだろう…」
『そうですね……今日は何時も以上にどうしても寝たいと貴女が仰るので、私は邪魔かと思いまして』
「わ、分かったよ!起きる、起きるから僕の支度が終わるまで部屋の外で待ってるんだ!……良いね、待ってるんだよ、絶対だからね!」
『先程迄と言っている事が真逆ですね』
「うるさい!早く出て行け!……あっ、出て行ってもドアの前で」
『部屋のドアの前で待て、でしょう。畏まりました』
一礼した男は彼女の言う通り部屋から出てすぐにその場に立ち止まる。そしてドアに背を預け寄りかかった彼は口元に手を当て薄く笑みを零した
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風船ガム - (名前)さん» 嬉しいお言葉をありがとうございます!フリーナに加え主人公も大好きと言って頂けて嬉しいです!……出会い編…書きたいと思っております!これからも応援宜しくお願いします! (9月23日 21時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 大好きです!主人公やフリーナちゃんが大好きでいつも見返しています( *´꒳`*)出会い編とかあったらさらに嬉しいです☺✨体調には十分に気をつけてお過ごし下さい。これからも応援しています‼️ (9月20日 21時) (レス) @page34 id: 56929420b7 (このIDを非表示/違反報告)
風船ガム - 鏡花水月さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!フリーナ可愛いですよね!…コメントは執筆のモチベーションに繋がります…ありがとうございます!(´;ω;`) (9月4日 12時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
鏡花水月(プロフ) - フリーナちゃん可愛すぎます!お話も読んでいて凄くキュンキュンするし最高です!(,,> <,,) (9月3日 21時) (レス) @page19 id: 39a51ddb92 (このIDを非表示/違反報告)
風船ガム - リリィさん» コメントありがとうございます!フリーナ可愛いから生まれた産物でございます…嬉しいお言葉ありがとうございます、頑張ります! (8月24日 20時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:風船ガム | 作成日時:2023年8月23日 20時