"あたし"の記憶 ページ37
自分でも分からない。何故その一枚の紙を見て走り出したのか。それを求めているのか。
分からない、何故参加者の方へ向かっているのか。
ただ、頭の片隅に、なにか燻っているのだけが分かる。
いつかの、記憶――?
はて、いつだったろうか。
走ってサラへ、正確には彼女の手にある紙へ手を伸ばす。
「なっ…」
サラが迫る私に気が付いた時には、もう遅い。
サラと倒れこみ、彼女に覆い被さる形になる。
「…サラ!?」
ジョーの声がしたが、気にしてられない。
「ねえ、それ渡して!!返してよ、ねえ!!」
返して?何を言ってるの?
それはあたしの物?
紙を取ろうとするけど、サラは紙を守るように防御していて、うまくいかない。
その内に、我に返ったQ太郎に引き離される。
「離して!!」
暴れて抵抗するけど、体格のいい彼には到底敵わなかった。
「なんなんだ急に、テメー!」
喧嘩腰でレコが怒鳴った。
サラはカイに手を貸してもらい、立ち上がっていた。
それを横目に、喚き散らす。
「誰なの、シュレッダーの中なんかに入れたの!!」
――「もう少しか」
ふと、先程のホエミーの独り言が脳内にフラッシュバックする。
「…まさか、貴方?」
「クク…あーっはっはっはっはっ!!ははははははっ」
ボクがホエミーの方を振り返ると同時に彼女は大声で笑い出した。
「え、ええ。私ですが…。んふ、だったらなんだというのです?」
「何って、何って…!!なんでこんなっ…だって、あれはボクの、あたしのっ…」
私の、なんだっけ?
時が止まったかの様に停止するボクの横で、「これは…?」とサラが視線を紙から私に移した。
紙の内容を見たらしい。それがなんだかとても腹立たしかった。
「もしかしてデア、お前の…?」
「…っ…知らない!!うるさい、うるさいっ!!ホエミー、君、どういうつもりでっ!!」
「うるさいのは貴方ですよ。いいから、此方へ戻ってください。これ以上騒ぎ立てるようならゲーム の進行妨害と見なして処罰しますよ」
笑う事なく、淡々とホエミーが私に告げた。
不満気に唸りつつも、大人しく彼女の隣の椅子に座る。
原因不明の苛立ちは収まらず、静かにホエミーを睨み付けると、彼女はあたしに向かってどこか満足気に「うふふ」と笑った。
何故こんなにイラつくのか。
…あのピンクの紙はなんだっけ?
明らかにその紙が原因だと考えられるのに、ボクはそれが分からなかった。
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春雨(プロフ) - ましゅ2。さん» コメントありがとうございます!!楽しんで頂けて光栄です!! (2019年6月30日 19時) (
レス) id: 55d503be78 (このIDを非表示/違反報告)
ましゅ2。(プロフ) - めちゃめちゃ面白いです！夢主ちゃん可愛いですし、お話大好きです！更新頑張って下さい！ (2019年6月30日 15時) (レス) id: 39489186ea (このIDを非表示/違反報告)
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