姉妹の愛 ページ13
――「愛、だよ」
デアの発した、たったそれだけの短い言葉が、この空間に重くのし掛かった気がした。
私は、ただ彼女の顔を、正しくはその瞳を見つめることしか出来ない。
何故か言葉を発することが、今は許されないような気がしたから。
淡いピンクの瞳は、まるで始めからそうでなかったかのように赤が入り交じり、ぐるぐると不気味な
渦を巻いているように見える。
「愛…だと?」
重い口を開くかのように、Q太郎さんがゆっくりとデアに言った。
「そう、愛だよ。私がカンナちゃんを助けようとした…って言っていいのかな?
まあ、その理由はただ単純に彼女を愛していたから。愛するものって、守りたくなるでしょ?
そういうことだよ。」
目を細めて笑いながら、デアはそう言った。けど、目はまだ渦を巻いている。
「な、なんだよそれ…答えになってねーじゃねーか!!ふざけてんのか!?」
苛立ったように、でも少し焦ったようにジョーが言った。
「……はぁ?」
ビクッと思わず、肩を揺らした。デアが、恐ろしい形相でそう声を漏らしたからだ。
声色も、憤怒の色が滲んでいる。
ジョーや、Q太郎さん、そしてカンナも、此処にいる全員が彼女に怯えを感じた。
「ふざけてないよ、ホントだよ。ていうか、何でふざけてるって思ったの?
愛は理由にならないの?愛してるから、好きだから、守りたいと思ったから。
それだけで行動する事は許されないの?どうして?ねえ、どうして?」
恐ろしい顔と雰囲気を纏ったまま、目の前の人形はまくしたてた。
「…ぅ、うう……」
声のする方を向けば、カンナが涙目の青い顔で、震えながらデアを見つめていた。
そんなカンナに気付いて、デアははっと我に返ったようだ。目もさっきまでと同じ薄いピンク色
に戻った。
「ゴメンね、ちょっと言い過ぎたみたい。カンナちゃん、大丈夫?」
少し優しげにデアがカンナに声をかける。先程まで怒りのオーラを漂わせていた人とは
思えないくらいに優しげで、正直気味が悪い。
「か、カンナだって……ッ…………お姉ちゃんの事を、愛していました。」
デアの質問には答えず、カンナは小さな声で呟いた。
そして、そのまま続ける。
「優しくて……強い人でした。…カンナ、そんなお姉ちゃんが大好きで…」
カンナのその言葉を聞いて、私はギリ、と歯ぎしりをしてデアに言った。
「……でも、殺された……!!お前らに……!!」
思い切り睨んで、そう言った。私の言葉に、カンナが少したじろいだ。
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春雨(プロフ) - ましゅ2。さん» コメントありがとうございます!!楽しんで頂けて光栄です!! (2019年6月30日 19時) (
レス) id: 55d503be78 (このIDを非表示/違反報告)
ましゅ2。(プロフ) - めちゃめちゃ面白いです！夢主ちゃん可愛いですし、お話大好きです！更新頑張って下さい！ (2019年6月30日 15時) (レス) id: 39489186ea (このIDを非表示/違反報告)
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