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角度を変えて、何度も何度も、甘えるように柔らかな唇が重なる。
触れ合う音と、息継ぎの合間に漏れる吐息や艶のある声に体の熱が上がって、縋る手に力がこもった。
余りに優しく、それでも強く。もっと、と伝える様に求められるせいで思考は彼一色となり、繋がった銀糸がぷつりと途切れる頃には酸素を求め肩が揺れた。
柔く濡れた唇が首筋をなぞるように撫でていって、ふわふわの黒髪が耳元をくすぐる。
きつく抱きしめられ背がのけぞると、そのまま数歩こちらへ歩こうとする。
後ろ向きで歩くなんて幼少期で遊んだ以来だ、と思いながら、とてて、と少し後ずさった。
ふくらはぎにベッドが当たると、手を引いて自分は腰を下ろす雅人さん。その上に乗りかかる様に抱え上げられ、耳元へちゅうっと音を立てキスが落ちる。
雅人さんの方からこんなにも強請られるのは珍しいなぁと思って、熱っぽい瞳に見つめられても締まりのない笑みが隠せない。へにゃりと笑む私に、がじがじと遊ぶ様に首筋を甘噛みされた。
「ふふ、…くすぐったいよ、」
大切に抱きこまれ触れてもらえる余りの多幸感に、私の表情筋はすぐに仕事を忘れるらしい。
再びかぷりと唇を覆われ、応えるそれは熱を持って深くなる。
絡んで口内を遊ぶ舌や、後頭部を支える大きな手。むずがゆい程幸せで、突然の甘さに溺れてしまいそう。
「…一人でって言い張ってた時から」
「…うん」
「何かあんのかとは、思ってたけど」
愛おしそうに金の瞳が私を見つめて、頷いたすぐに触れてくれる。
「…あれは、ずりぃだろ」
長いまつ毛を見届け目を伏せると、甘える声が聞こえたと思えばすぐ下唇を食まれる。
我慢できなさそうに、ひとこと告げる度にキスをして熱を与えてくる雅人さんに段々と蕩けていく感情。
気持ちよくて、くすぐったくて、数えきれないくらい沢山、触れてほしくなる。
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み(プロフ) - かるぴさん» 最後までお読みくださり、またこんなに心温まるコメまでありがとうございます…!!そう仰っていただけてとても嬉しく、執筆してよかったと救われました💕こちらこそありがとうございました💕🐕🎀 (9月20日 15時) (レス) id: c444dbe51c (このIDを非表示/違反報告)
かるぴ(プロフ) - とても面白かったです…!!ついつい最後は泣いちゃうくらい大好きです……!こんな神みたいな作品生み出してくださってありがとうございます😿😿! (9月15日 8時) (レス) @page48 id: 9d8af713d5 (このIDを非表示/違反報告)
み(プロフ) - ペネロッペさん» コメントありがとうございます!!こんなにもお褒め頂けてとても光栄です、こちらこそありがとうございます✨ (2023年3月7日 16時) (レス) id: b66859cee4 (このIDを非表示/違反報告)
ペネロッペ(プロフ) - 完結、おめでとうございます!! とてもとても大好きな小説が完結して嬉しい気持ちとどこか寂しい気持ちがごった返しですが、、、無事、完結という形で終わっていただいた作者様にもう一度、感謝を述べます!ありがとうございました!! (2023年3月6日 15時) (レス) @page48 id: 42dc98278a (このIDを非表示/違反報告)
み(プロフ) - 亜紫さん» お優しいお言葉ありがとうございます…!!とっても嬉しいです😍他作品も含めお楽しみ頂けます様頑張ります!😊🎁 (2023年2月20日 8時) (レス) id: b66859cee4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:み | 作成日時:2022年1月25日 15時