卒業式 ページ39
今日だからといって、別段話す内容は変わらない。
出水も米屋もいつも通りで、珍しく三輪くんや隠岐くん、真織ちゃん達と一緒にボーダーへ向かうまだ明るい慣れた道。
それぞれ各隊室へ手を振り別れ、私とヒカリちゃんは仲良くおててをつないだままドアの前に立った。
「「おつかれさまでーーす!!」」
機械音と共に、凹凸のないシンプルなドアが開く。
いつもより大きくなってしまう声も、きっと中にいる3人は笑ってやっぱりを告げているのだろう。
「あ、やっと来た。」
「遅ェぞお前ら」
「二人とも待ってたよ〜!」
私達には特別居心地の良い場所。踏み込む足さえも揃った。
ユズルくんがこたつから出て、ソファでだらけていた雅人さんもこちらへと歩いてくる。
ゾエさんは給湯室から顔を覗かせ、ぱっと嬉しそうに笑った。
つい並んだまま見上げてしまう私達に、緩く笑んだ3人の声が揃う。
「「「卒業、おめでと」」」
優しくて、かっこよくて、でもちょっぴり可愛い所もあって。
頼れる最高で最強の、私達部隊の男性陣。
普段から十分に甘やかしてもらっている自覚はあるけれど、雅人さんもゾエさんもユズルくんも、なんだかんだいいながら特段甘い。
思わずヒカリちゃんと顔を見合わせ、すぐに頬が緩んだ。
「「ありがとッッ!!」」
3人に飛びついた私達に驚きながらもしっかり受け止めてくれるのだから舌を巻く。
何にも代えがたい私の大好きな仲間。大好きな人。大好きな空間。
迎え入れてもらえる事実は、笑顔にするのが上手い。
「やっと終わったぁ〜!!」
「立ったり座ったり長すぎだろ!!」
「号泣してくるんじゃねぇかってゾエと話してたけど微塵もねぇな」
鞄を投げ置き体を伸ばす私達に、雅人さんが息をつき笑う。
「まだ実感わいてないのかなぁ、」
「皆一緒だしな。それより勉強から解放されたかと思うと…」
「「私達頑張った!!」」
向かい合って手を取り合い、きゃあきゃあと飛び跳ねる絶賛浮かれまくりの私達に肩をすくめる雅人さん。
給湯室にまた舞い戻ってしまったゾエさんの朗らかな笑い声が届く。
「ヒカリ、卒業出来てよかったね。Aちゃんと三輪さんにものすごい顔させてたし」
「なんだとぅ〜!!まぁ確かに二人がつきっきりだったからな!」
「三輪くん後半顔やばかったよね、目がうつろだった」
「お前なんでこれすら分かんないんだってな!!」
「笑い事じゃねェだろ…」
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み(プロフ) - かるぴさん» 最後までお読みくださり、またこんなに心温まるコメまでありがとうございます…!!そう仰っていただけてとても嬉しく、執筆してよかったと救われました💕こちらこそありがとうございました💕🐕🎀 (9月20日 15時) (レス) id: c444dbe51c (このIDを非表示/違反報告)
かるぴ(プロフ) - とても面白かったです…!!ついつい最後は泣いちゃうくらい大好きです……!こんな神みたいな作品生み出してくださってありがとうございます😿😿! (9月15日 8時) (レス) @page48 id: 9d8af713d5 (このIDを非表示/違反報告)
み(プロフ) - ペネロッペさん» コメントありがとうございます!!こんなにもお褒め頂けてとても光栄です、こちらこそありがとうございます✨ (2023年3月7日 16時) (レス) id: b66859cee4 (このIDを非表示/違反報告)
ペネロッペ(プロフ) - 完結、おめでとうございます!! とてもとても大好きな小説が完結して嬉しい気持ちとどこか寂しい気持ちがごった返しですが、、、無事、完結という形で終わっていただいた作者様にもう一度、感謝を述べます!ありがとうございました!! (2023年3月6日 15時) (レス) @page48 id: 42dc98278a (このIDを非表示/違反報告)
み(プロフ) - 亜紫さん» お優しいお言葉ありがとうございます…!!とっても嬉しいです😍他作品も含めお楽しみ頂けます様頑張ります!😊🎁 (2023年2月20日 8時) (レス) id: b66859cee4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:み | 作成日時:2022年1月25日 15時