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無駄に慌てる心臓を落ち着ける様に深く息をついて、そっと耳に当てる。
「…はい、影浦です。」
「あれ、…その声、Aちゃん？」
いざ出てしまえば先ほどまでの緊張はどこへやらで、何度かお聞きした事のある彼に似た落ち着く声に少しほっとした。そしてまたすぐに。
「はい、…今、雅人さん手が……さっきより離せなくなりまして…」
お兄さんの声がかき消されるくらいの騒音が眼前で響き、目を見張った。
よく漫画などで目にする、どんがらがっしゃん、といった擬音語はこういう事らしい。
機械の向こう側でけらけら笑ったお兄さんは、粗方理由はわかるけど。と愉快そうな声を届けた。
騒音の発生源、雅人さんはいきなり手の力が抜けたのかどうしたのか、抱えていた漫画たちを落っことしそこから微動だにしない。
一体全体何なのだろうか、本棚目前で何かよからぬものでも見つけたのだろうか。
お兄さんの話に相槌を打ちながら近づき、未だに拾い上げもしない彼を覗き込んだ。
「…あの、雅人さん？…お兄さんが…」
「……わりぃ…」
少しだけ、赤く染まる頬。
私を見る瞳と眉の距離が近づいて、堪える様な表情に益々何があったのか首を傾げてしまう。
私からスマホを受け取った彼は何やら歯向かったり了承したり忙しそうで、落っことした漫画たちを代わりにお家へ帰らせてあげていると再び突き出されるスマホ。
「…私？」
「どうしてもって、クソ兄貴が」
「お兄様へのあたりが辛辣すぎませんか？」
まだ睨む様に我慢した表情のままの雅人さんからスマホを受け取る。
再び届く軽快な声に相槌を打っていると、これがいいたくて。と少しためる声。
今日の出来事を伝えたくてたまらない幼子のようなテンションに朗らかな気持ちになっていたのも束の間、雅人さんの感情は思っていたより幼気だったみたい。
「電話に出るとき、影浦ですって言ってくれたでしょ？」
「んぇ？あ、はい」
人様の電話に出るのだから間違ってはいなかったはずだけれど…、と先ほどの記憶を思い出す。
「雅人が慌ててたの、それだよ。…アイツあんな顔して案外ピュアだからさ」
「ｯｯ！？……そ、れは、…その」
雅人さんに似た低く柔い声が楽し気に弾んで、いつでもおいでよ。となんとも明るく告げてくれた。
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み(プロフ) - かるぴさん» 最後までお読みくださり、またこんなに心温まるｺﾒまでありがとうございます…！！そう仰っていただけてとても嬉しく、執筆してよかったと救われました💕こちらこそありがとうございました💕🐕🎀 (9月20日 15時) (
レス) id: c444dbe51c (このIDを非表示/違反報告)
かるぴ(プロフ) - とても面白かったです…！！ついつい最後は泣いちゃうくらい大好きです……！こんな神みたいな作品生み出してくださってありがとうございます😿😿！ (9月15日 8時) (レス) @page48 id: 9d8af713d5 (このIDを非表示/違反報告)
み(プロフ) - ペネロッペさん» コメントありがとうございます！！こんなにもお褒め頂けてとても光栄です、こちらこそありがとうございます✨ (2023年3月7日 16時) (レス) id: b66859cee4 (このIDを非表示/違反報告)
ペネロッペ(プロフ) - 完結、おめでとうございます！！ とてもとても大好きな小説が完結して嬉しい気持ちとどこか寂しい気持ちがごった返しですが、、、無事、完結という形で終わっていただいた作者様にもう一度、感謝を述べます！ありがとうございました！！ (2023年3月6日 15時) (レス) @page48 id: 42dc98278a (このIDを非表示/違反報告)
み(プロフ) - 亜紫さん» お優しいお言葉ありがとうございます…！！とっても嬉しいです😍他作品も含めお楽しみ頂けます様頑張ります！😊🎁 (2023年2月20日 8時) (レス) id: b66859cee4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：み
| 作成日時：2022年1月25日 15時
