検索窓
今日:17 hit、昨日:0 hit、合計:88,702 hit

34 ページ34

伊野尾「やっぱり、Aさんって悪い女ーーーー」



慧はそう言いながら、ゆっくりと私に距離を詰めてきた。


そして、目の前で立ち止まると私をジッと見下ろす。


私も自分よりだいぶ背が高い、慧の顔を見上げた。




伊野尾「今夜・・・会いたい」




慧が少し体をかがめて、私の耳元で呟いた。



伊野尾「・・・だめ?」



慧がかがめた姿勢のまま、私の顔を覗き込んで。



捨て猫のような哀しくも愛らしい瞳が、私を捉えて離さなかった。




伊野尾「・・・A」




黙っている私の首筋をそっと、撫でながらゆっくりとその手を後頭部に差し込まれる。


慧の細く長い指に、体がぞくりと反応したのは紛れもない事実だった。




気がつくと、私は小さく、コクンと頷いてた。





その瞬間、数人の足音が近くで聞こえてきて。


私がハッと顔をあげるのと同時に、慧も私の頭に添えていた手を離した。





そして、事務員さんや営業社員が「おはよーございまーす」言いながらオフィスに入ってくる。




伊野尾「じゃあ、Aさん、これ、確認お願いしますね」



慧はそう言いながら、私に白い紙を渡して。



うちの部署の社員に「おはよーございます」と挨拶を返しながら、出ていった。









事務員「企画部の伊野尾さんじゃないー!!近くで見たらほんっと、綺麗な顔よねー!!Aさん、仲いいの??」


A「え!いや、」





事務員「あ、それね!!ありがとう!もらっておきまーす」




事務員さんに言われて、慧が私に渡してきた白い紙に目を落とす。






それは企画部が営業部に回す、マーケティングの資料だった。



それをわざわざ、慧が持ってくる必要はない。

基本はそういうことは、事務員さんがやってくれる。






慧ってやっぱり、抜かりない・・・。

Daiki side→←33



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (118 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
454人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

kazuho10venw(プロフ) - ひなるりさんの作品が本当に好きです。1番好きです。新しい作品も繋いだ手をもう一度も、そしてtaste youは本当にドキドキして一気に読みました!これからもお忙しいかとは思いますが頑張ってください!更新楽しみにしてます(^ ^) (2018年2月16日 0時) (レス) id: 3a82aedab1 (このIDを非表示/違反報告)
ひなるり(プロフ) - マソさんさん» ありがとうございます!ドキドキもハラハラもして頂けて光栄です!これからも波乱の展開も目指しますので、引き続きよろしくお願いします! (2018年1月17日 20時) (レス) id: d8c478152b (このIDを非表示/違反報告)
ひなるり(プロフ) - ほーちゃんさん» ありがとうございます!!更新ゆっくりめで申し訳ありませんが、どうぞ引き続きよろしくお願いします! (2018年1月17日 20時) (レス) id: d8c478152b (このIDを非表示/違反報告)
マソさん(プロフ) - ドキドキもハラハラもしました!すごく読んでいて楽しいです!更新楽しみにしています! (2018年1月16日 1時) (レス) id: a8e64801a2 (このIDを非表示/違反報告)
ほーちゃん(プロフ) - とっても好きな作品です!(^^)応援してます!! (2017年12月30日 0時) (レス) id: 9c70c51396 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ひなるり | 作成日時:2017年12月22日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。