悪童が悪童じゃない話

バァカ*27 ページ27

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昔から嫌なことがあると、河川敷に来ていた。
それが癖になっており今では無意識に河川敷に足を運ぶということも多い。
今日も例外ではなかった。

色々あったあの日からもう一ヶ月。
原も順調に回復し、退院した。Aとは連絡を一切とっていない。
俺の必要性がなくなったからだと思うと少し寂しいが仕方ないと思った。

夕方にしては明るすぎる、そうか今は夏なのか。なんて当たり前のことを今更ながら自覚する。
水分を含んだ冷たい風が俺の頬を撫でた。



「花宮、やっぱりここにいたんだ」



ゆっくりと後ろを振り返るとそこには瀬戸がいた。
……前にもこうして会ったことがある。瀬戸も嫌なことがあったら河川敷に来るんだと。
やっぱり俺等ってなんか似てんのかなと笑い合った記憶が蘇り懐かしいようなくすぐったい様な気分になった。

ドサリと俺の横に座る瀬戸。
また風が吹いた。きゃあきゃあとサッカーをしながら遊ぶ子供が目に入る。「次はバスケをしようぜ！」と言ってサッカーボールをバスケットボールに代わりにしてバスケをし始めた。
おいおいそれじゃあうまくできないだろ、と思ったがなんだか微笑ましいのでそのまま見つめる。
案の定ボールが跳ねることはなく、バスケットボールは失敗に終わった。

ふはっと思わず笑いが漏れると、瀬戸が驚いてこちらを見つめている。
なんだと問えばいや、と言葉を濁した。


「花宮、なんか柔らかくなった」


ふわりと笑う瀬戸も俺なんかより全然柔らかくなったと思う。そう口にするとそうかななんて笑うから俺もつられて笑った。


「……瀬戸、俺はどうすれば正しかったんだろうな」


じゃあねと帰り始める子供たちを見ながらそう聞く。
瀬戸はうーんと唸ってポツリポツリと話し始めた。

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