悪童が悪童じゃない話

バァカ*26 ページ26

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私は、今日彼氏にフラれた。


そう自覚したときに真っ先に連絡をしたのは浮気相手だった花宮くん。
いつも優しい花宮くんに慰めてほしくて、私は連絡をした。

一人の空間が嫌で、思い出が詰まっている部屋が嫌で玄関で花宮くんを待つ。
連絡して1時間ぐらいすると花宮くんは肩で息をしながらやってきた。


あぁ、また私は花宮くんを利用している。


もうやめよう、フラれたんだからこれでケジメをつけようと思っていたのに弱い私は、また……。


けれど花宮くんは何かを呟きどこかへ行ってしまった。
入れ違いに入ってきた真美。

――――花宮くんにも、捨てられたのか。

心のどこかで頼っていた。癒されていた。
気付かない内に、とても大きな部分を、花宮くんは占めていた。
苦しそうに笑う顔が、私を抱くときのあの顔が、ずっと頭から離れない。

真美に抱き着いて私は泣いた。一晩中、泣いた。



「……ばか」




真美が呟いた声を聞いてもっと涙が溢れてきた。
あぁ私は馬鹿だ、大馬鹿だ。
大切なものを一度に2つも失ってしまった。

ゴメンね、花宮くん、本当にゴメン。
散々振り回したよね、自分が大切な私をそれでもいいと優しく受け止めてくれたよね。
もう、必要にしちゃいけないから。


幸せになってください、誠也くん、花宮くん。



また、涙が零れた。

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