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5時間目 衝撃 ページ6

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「……佐藤、」



保健室の戸を開けて、此方へ歩を進める奴は
何というか、恐る恐るというか、此方の様子を伺うというか。

普段の不遜な態度からは想像もつかない姿だった。
戸の傍にいた先生には目もくれず、保健室の椅子に座る私の前まで一直線にやってくると、奴は。



「……すまなかった」

「…………は、」



奴は。
あろうことか、あろうことか私に頭を下げたのだ。

あの白川奏多が私に頭を下げる。
それはもう天地がひっくり返ってもあり得ない話だった。

もし此処が教室であったなら騒ぎになっていたであろう。
奴が私に頭を下げるのはそれほど信じがたい出来事だったのだ。



「え、え、は?お前、何……」

「……あの時、お前が泣いたのは、俺のせいだろう」



そう言う奴の顔は、なんというか、こう。
思い違いでなければ、罪悪感に満ちているというか。

何故、嫌いな女を泣かせただけで
奴がこんな表情を、こんな行動をとるのか私には分からなかった。

混乱の余り思わず閉口した私を一瞥すると、奴の顔がさらに歪む。
無言は肯定と同義だと認識したのだろう。
いや、だからと言って何故奴がこんな顔をするのかは全くもって分からないのだが。



「……まあ、今でも俺の言ったことが間違っているとは微塵も思っていないが。
 …………だが、今言うべきではないことまで言及したという自覚はある」

「……」



唖然とした。
奴は本当にどうしてしまったというんだろうか。

今までそのねじ曲がった性格で数々の人間を泣かせ怒らせても一度も謝らなかったような、
まさしく唯我独尊を地で行くようなこの男が。急にこんなことを言いだすようになるなんて。

驚きの余り唖然とする私に対し、奴が、この白川奏多という男が、



「……それに、なにより、」



口から紡いだその言葉は。



「…………俺は、お前のことを嫌いだと言った覚えは一度もない」



「………………は?」




私の思考を停止させるには十分だった。



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設定キーワード:オリジナル , 恋愛 , ケンカップルは至高   
作品ジャンル:ラブコメ, オリジナル作品
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ぴのいちご(プロフ) - 夜澄ソラさん» お褒めの言葉頂き嬉しいです……!元々自己満足で自分の好きな物を詰め込んだだけのものなので好き嫌いは別れても致し方ないのかななんて思います、コメントほんとにとっても嬉しいです、ありがとうございます! (1月5日 23時) (レス) id: 30f259b2ae (このIDを非表示/違反報告)
ぴのいちご(プロフ) - 颯貴さん» 初めて長編小説を書かせて頂いたのですがそう言っていただけてとても嬉しいです……!これからもゆるゆる更新させて頂きますのでよろしくお願い致します……! (1月5日 23時) (レス) id: 30f259b2ae (このIDを非表示/違反報告)
颯貴(プロフ) - 夜澄ソラさん» ほんとにそれ。(あっFF外から失礼します)なんでこんな低評価なん?理解できないんだけど (1月5日 23時) (レス) id: b9ddb7cad4 (このIDを非表示/違反報告)
夜澄ソラ(プロフ) - 一気に読んでしまいました。こんなに評価が低いのが理解できないくらい面白かったです……!続きも楽しみにしています! (1月5日 23時) (レス) id: 1c9f7aabed (このIDを非表示/違反報告)
颯貴(プロフ) - おもしろかったです!普通に書店に並ぶ本を読んでたみたいで笑いかにも文才ある感がある文章でそれに比例する内容の面白さ、とても面白かったです!続き待ってます(*´ω`*) (1月5日 20時) (レス) id: b9ddb7cad4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぴのいちご | 作成日時:2021年1月3日 12時

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