十六話なのです！ ページ17
鶴丸国永が再び眠りについた後、二人分の寝息が響く室内に一つの気配が現れた。
実際には、気配自体は元からその部屋の中にあったが、今の今まで眠っていたのだ。
「……Aさま」
彼はAの名前をそっと呟いてその頭を撫でる。
まるで、先ほどまで鶴丸国永が触れていたところを上書きするように。
そして彼はAの小さな体をそっと抱き上げて鶴丸国永から離した。
その赤く光る瞳に感情の光はないが、Aを見つめるその目はどこか優しい色をしている。
いつもと同じ時間にAは目を覚ました。
確か昨日は鶴丸国永の看病をして、それから寝落ちしてしまったらしい。
どうしてか離れの自分の部屋の布団で寝ていることに首を傾げたが、自分に絡みついている覚えのある気配に納得した。
片時も離したことのない刀をそっと撫でる。
「部屋まで運んでくれてありがとうございますなのですよ」
わがままを言えば、長谷部様のお姿を見たかったのです。
そう呟く。
へし切長谷部が姿を現すのは本当にレアなのだ。
確率で言えば、鍛刀で大倶利伽羅が出るくらいだ。
本丸によるが、出るときは連続で出るし、出ないときはとことん出ない。
しかも今回はおそらく眠っていたとはいえ鶴丸国永がいる部屋に現れたのだから、レア度は三日月宗近くらいまで引きあがるのだ。
ぷくっと頬を膨らませた後、皺だらけでその上応急処置の為にびりびりに破いてしまった服を着替えた。
そして今度こそは朝食の準備を手伝おうと部屋をでた。
「おっと！」
出た瞬間にまるで待ち構えていたようなまっしろしろすけにぶつかる。
「……何をしているのです？」
というか、何をしようとしていたのだろう。
鶴丸国永の手にはハリセンや、押すと鳴き声を上げる鶏のおもちゃが握られていた。
「これは一本取られたな。手当ての礼に驚きついでに起こしてやろうとしたんだが、まさかすでに起きているとはな。若い人間は起きるのが遅いと主に聞いたんだが」
礼なのに起こす方はついでなのかとか、驚かせるのにそのチョイスは何なんだとか、そもそも女の部屋に無断で入ろうとするなとか、色々な言葉が喉元まで出かかったが、ぐっとこらえる。
「私が起きるのがはやいだけなのですよ。あまり眠らない体質なのです」
そう言うと、そうかそうかと鶴丸国永は納得した。
「なら、もっとアッとした驚きを送ってやるから楽しみにしてろよ！」
一切気が抜けなくなってしまった。
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橋本アリィちゃん(プロフ) - とても面白かったです！続きを待ってます！(*´ω｀*) (2021年9月25日 17時) (
レス) @page18 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
瀬名-せな-くん⇔舶(ﾊｸ)(プロフ) - とても良きです……!!見習いちゃんがとても可愛く内容も好みです…!気長に更新お待ちしています(´-`*) (2019年12月25日 2時) (レス) id: 7017cc79b6 (このIDを非表示/違反報告)
ハル - 見習いちゃんがとても可愛くて吸い込まれるように読みきっちゃいました！続きを待ってます！ (2019年5月16日 22時) (レス) id: e140141ee4 (このIDを非表示/違反報告)
アルっさん(プロフ) - 見習いちゃん可愛いですな！FGOの方の更新も待ってます(*´∀｀*) (2018年12月6日 16時) (レス) id: ede1d0dfa8 (このIDを非表示/違反報告)
黒雪(プロフ) - 初めまして！ 見習いちゃん可愛いですね 小説面白いです これからも更新楽しみにしています 頑張って下さい！ (2018年10月18日 2時) (レス) id: 64abb0ccf3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：沖矢ちひろ x他1人 | 作成日時：2018年8月29日 22時
