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翌朝、遅めにチェックアウトをして、実家へ。
これから緊張する場面が待ってるっていうのに、裕太くんはやっぱり余裕の横顔。
実家に着いて、滉の世話をしたり家事を手伝っているうちに、すっかり日は暮れ。
夜に滉を寝かしつけたあと、裕太くんは改まって正座をした。
「ちょっと···、話があるんですけど。」
さっきまでビール片手にテレビを見ていたお義父さんも、その雰囲気に気付いてテレビを消してしまう。
2人とも話の内容をだいたい予想できてるからか、かしこまって居住まいを正す。
「Aさんと、結婚させてください。」
意外と落ち着き払った声でそう告げると、うちの両親に向かって深く頭を下げた。
つられて同じように頭を下げたうちの親達も、恐る恐る顔を上げた裕太くんを見て、途端に笑い出す。
「何?急に改まって。」
とか、
「まさか今夜だとは思わなかった。」
とかって、3人で笑っちゃってるし。
「もうちょっと先かと思ってた。
2人とも就職して、みたいな。
でもAはまだ内定ももらってないんじゃなかった?」
···そうだった!
親にはまだ、就活をやめたことを言ってなかったんだった!
「就活、やめたんだよね、私。」
恐る恐るそう打ち明ければ、2人ともぽかんとした顔で私を見つめている。
申し訳ない。
結局、何も報告してないよね。
お父さんから学費が支払われてなかったことも、それを裕太くんのおじいちゃんに出してもらったことも、いい機会だから、全部話すことにした。
お母さんはただただ激怒してたけど、お義父さんだけは冷静で、
「後期の学費はどうなった?」
と、神妙な面持ちで聞いてきた。
「Aのバイト代と俺の貯金とを合わせて払います。」
なのに、私の代わりに裕太くんが答えてしまう。
だけど、
「結婚するからといっても、娘の学費を払うのは親の役目だから。」
お義父さんはそう言って席を立って、貯金通帳を持って戻ってきた。
「これは、俺らがAちゃんの結婚資金にってコツコツ貯めてたお金だから。
好きに使って。」
通帳の中身は、後期の学費を払っても全然余裕なほどの残高で、申し訳なくて顔を上げることが出来ないほど。
なのに、何でこのタイミングで言っちゃうかな。
「結婚の話にはまだ続きがあって···。
できたら、すぐにでも籍を入れたくて。
それと···、来年の春からシンガポールに行くことになったから、Aも連れて行っていいですか?」
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クッキーベル(プロフ) - 昨年のクリスマスからこの作品を今日までで一気読みさせていただきました!!すごく面白くて続きが気になります!!!更新大変だとは思いますが、これからも頑張ってください!!応援してます!! (2021年1月2日 19時) (レス) id: 456e770b4f (このIDを非表示/違反報告)
えり(プロフ) - 楽しみに更新待っていますね。^_^ (2020年7月28日 0時) (レス) id: 8591dd4797 (このIDを非表示/違反報告)
bakutan(プロフ) - こんばんは!この物語とても好きです!ゆっくりでも良いので更新再開してください!!楽しみに待ってます! (2020年6月3日 19時) (レス) id: dde750c273 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - えりさん» こちらも大変お返事が遅くなりまして!こちらも読んでくださってるとは、ありがとうございます。こちらは更にのんびり更新でやってますが、どうぞよろしくお願いしますm(__)m (2020年3月2日 1時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
えり(プロフ) - こんばんは!こちらも楽しみに読んでいます。めちゃくちゃ素の玉ちゃんが出てる感じでリアル感もあり楽しみです!ゆっくりご都合良い時に更新してくださいね^_^楽しみに待ってます。 (2020年1月25日 22時) (レス) id: 8591dd4797 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わかめ | 作成日時:2019年10月6日 21時