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自分でもかなり早口になってるのがわかる。

前に彼にも指摘されたっけ。

嘘をつく時には早口になるって。

別に嘘をついてるわけじゃないけど、後暗いところがあるから早口になっちゃってるんだろうな。

半泣き状態の私を見て、先生はようやく重い腰を上げてくれた。

「今夜はもう遅いから帰るけど
今週はずっと東京にいるから、時間取れない?」

「…わかりました」

そう答えてみたけど、先生の目が見れないでいた。

もちろん、北山くんの目も。

これで誤魔化せたとは思えない。

きっと先生が帰った後、彼は私に「ファンの子」発言について問い質してくるだろうし。








2人で玄関先まで先生を見送って、ドアがバタリと閉じた途端、

北山くんは意地悪な表情になって、私を壁側までじわじわと追い詰めてくる。

「わかんないことがいっぱいあるんだけど
ひとつずつ、聞いてっていい?」

うっすらと微笑んでるのがますます恐ろしくて、私は視線を斜め下に向けたまま後ずさりするだけ。

だけど、とうとう背中が壁にぶつかってしまい、万事休す。

「まず、何で元彼がいたわけ?」

「知らない
帰ってきたら部屋の前にいたから」

「部屋に入れなかったのは何で?」

「だって、別に付き合ってるわけじゃないし」

「それを言うなら、俺らも付き合ってなくね?」

今まで聞いたことないくらい冷たい声。

…もしかして、けっこう怒っちゃってる?

その無敵な微笑みは、怒りからきてるものなんだろうか。









「その前に、私から話しておきたいことがある」

この尋問に耐えきれなくなった私は、とうとう自白を始めることに決めた。

「見せたいものがある」

それだけ告げると、クローゼットの前に踏み台をセットした。

「何?」

そんな私の様子を、彼は不審そうに眺めてるだけ。

クローゼットの一番上の奥に押し込めていたダンボールを引っ張り出して、床の上に置いてみせた。

「…開けていいよ」

ガムテープで厳重に封印されたダンボールを中心に、立ち尽くしている私達。

この中には、私の北山担の歴史が全て詰まっているわけで…。

もういい、全て晒す。

これで嫌われたなら、縁がなかったってことだし。

それに、私達はまだ付き合ってないわけだから、責められる必要もない。

まあ…、嘘をついていたことは謝罪するけど。

この箱の封印を解いた彼は、きっと私のことを気持ち悪い女だと思うに決まってる。

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りたわかめ(プロフ) - えりさん» ありがとうございます、多分、3ヶ月ぶりくらいに更新した気がします・・・。夏の間は死んでました(T^T) (2020年9月6日 21時) (レス) id: 4a0ecf03f1 (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - ひろさん» 本日、移行しました!読んで頂けたら嬉しいです(/ω\*) (2020年9月6日 21時) (レス) id: 4a0ecf03f1 (このIDを非表示/違反報告)
えり(プロフ) - わかめさん、更新ありがとうございました。めちゃくちゃドキドキです。 (2020年9月5日 17時) (レス) id: 8591dd4797 (このIDを非表示/違反報告)
ひろ(プロフ) - 久々の更新楽しみにしてました!!楽しく読ませていただいてます(*´ω`*) (2020年9月1日 22時) (レス) id: 57f2f46317 (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - moraさん» わざわざ聞かせてみましたwwwいこう!ってwwww (2020年9月1日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りたわかめ | 作成日時:2020年2月7日 22時

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