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常識不足 ページ7

「…ふう」


屯所内は広くて、
掃除だけでも結構疲れる。
まともに掃除なんて
禿の時しかしたことなかったしな。

禿、

総悟さんが
言っていたことが引っ掛かる。
わたしはやはり、皆とは違うのかしら。
四辻家に嫁いだ時も
知らないことばかりで
四辻さまや平太に教えて貰ってばかりいた。


少しは考えてやってくださぇ


もし、わたしの常識不足で
誰かを哀しませたり、
困らせたりすることがあったら
それは、嫌だな。



おば「Aちゃん、掃除終わった?」


「あ!ええ、あとこの廊下だけです」


おば「広くて大変だろ?
そこはわたしがやっておくから
土方さんにお茶持ってってくれる?」


「お茶ですか?」


おば「自室で仕事してるから
持ってってあげて」


「はい、分かりました…。
じゃあ、お願いします」


おば「あいよ」



わたしはおばさまに箒を渡し、
食堂でお茶を準備する。
そっか、こういう仕事もあるのか。
もっと気が遣えないとだめだな。



「…えと、土方さんの部屋は、
あ、あそこの開いてるとこだったかな」



間違ってたら困ると、声を掛ける前に
そっと中を覗き込む。
ふわりと翳めた煙草の匂で、
ああ、合ってるとは思ったのだけど。

土方さんは机に向かい、
山のように積まれた書類に
眼を通しながら、手を進めていた。
灰皿に無造作に置かれた煙草の横には
何本も吸ったであろう吸い殻。
隊服のジャケットを脱いで、
丸められた背中は
広い肩幅に引き締まった身を感じさせる。


事務作業もやられてるのか。
そっか、土方さんが真選組で一番
お仕事されてるって言ってたっけ。
真選組の副長だものね。
強くて気も遣えて、仕事も出来るなんて
ほんとにすごいんだな…。



かた…っ



「あ、」


土「!…何してんだ、そこで」



夢中で見つめていると
肩が襖に当たってしまい、
土方さんがふと顔を上げる。
盗み見ていたことと、
見つめてしまったことに
少し恥ずかしさを覚えながら
慌てて、お茶を差し出す。



「お、お茶を…!持って来ました」


土「ああ、悪ぃな」



土方さんが筆を置き、
こちらに向き直ったので
土方さんの元へ動く。



「…どうぞ」


土「おう」


「……すごい量ですね、書類」


土「あ?…ああ。
上にも下にも問題児だらけだかんな」



土方さんは制服のスカーフを
少し緩めながら、
お茶を飲み、溜息を吐く。



「…っ」


土「そう言えば、あいつに渡し、」


「…ごめんなさい!」

みっつ : 土方→←損 : 沖田



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美雨(プロフ) - シリアス系の人さん» 更新が滞っていたのにコメントいただけて、嬉しいです!ありがとうございます!ゆっくりにはなってしまいますが頑張ります!! (2019年6月23日 22時) (レス) id: c9e3b5a9e5 (このIDを非表示/違反報告)
シリアス系の人 - いつも見てます!更新頑張ってください! (2019年6月23日 19時) (レス) id: 3f134b9658 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:美雨 | 作成日時:2019年5月19日 23時

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