この手を離すな【銀魂】2

低いな : 土方 ページ20

土「山火事？」


山「はい。
その男の子が出て行ってから数日、
山頂の方から、山火事が下りて来たそうです。
幸い、下の大きな村の人のおかげで
被害に遭う前に鎮火できたそうですが、
噂では、1週間弱は燃え続けていたのではないかと
言われる程の大惨事だったみたいで…。
山頂の方にあったらしい村は
跡形もなかったそうです。
その男の子も孤児で山をウロついている際、
山火事に巻き込まれたのではないかと。
男の子が出て行く時、
ここを離れた方がいいと言っていたかとか」


土「…他には何か言っていたか。
身体の特徴とか」


山「えと、ああ！そうなんですよ！
片足を不便そうにしていたみたいで…。
これを聞いて、四辻ではないかもしれないと
愕然としまして…報告が、遅れました…。
どうやら、その子は」


土「腱に傷がついていた、」


山「…で、す…え！？
え？なんで知ってるんですか！？副長！」


土「山崎。お前もその、
人の良い婆さんと違って
分かってんだろ？」



慌てふためく山崎を
横眼で睨み付けると、
その眉を顰め、ええ、と答える。



山「山頂へも行って来ました。
何十年も前なので木々は育っていましたが
確かに、そこに大きな人的な何かが
あったのだろう、育ち方をしていました」


土「1週間、燃え続け
何十年も経った今…、低いな」


山「…はい」


土「あいつが当たったか」


山「あいつ…？」


土「獄門だって言ったアホがいんだよ」


山「でも、まさか…。
話を聞きながらも信じられませんでした」


土「ああ、そうだ。
証拠や証言がなきゃ、
誰も信じちゃくれねぇよ」


山「…そうですね」


土「……ただ、駒は揃って来た。
山崎、」


山「はい！？」


土「…よくやった」


山「………え？」


土「秘密裏に動かせたのに、
ここまでよくやった。助かった」


山「…っ、」



山崎の報告書に
もう一度、眼を通しながら言うと
何やら黙り込くる山崎。



土「？どうし、」


山「ふ、ふ、ふふふ、副長おぉぉぉぉ！！」


土「おわっ！？な、なんだ！？」


山「副長が、俺を褒めるなんてえぇぇぇ！！」


土「ああ？んなことかよ」


山「そんなことじゃないでしょおぉっ！？
ちょっと俺、局長に、いや！みんなに
言ってきます！！俺はやったんだって！
副長に認められたんだって！」


土「アホかぁ！！
秘密裏だって言ってんだろうがあぁぁ！！」



がらっ…



沖「何騒いでんですかぃ？」



土山「ぎゃあああぁぁ！！」

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