規格外 ページ27
月「‥‥‥え?」
日「………今、なんて‥?」
眼の前にいる、ふたりが
大きな眼を更に大きくして
わたしに問う。
「…えと、ですから
今日は非番なので
今から、少し出て来ます、と…」
日「どこへ?」
「…外へ」
月「Aが?」
「…わたしが」
ふたりはそのまま、お互いを見つめ合い
突然、大きな声を上げた。
日月「やっと!!!!!」
「…っ!?え、え!?」
日「長かったわ!ほんとに長かった!
やっと、外に出る気になったのね!」
月「シャバの空気を吸いたくなったか!」
「…わたし、捕まってた訳じゃな、」
日「ひとりで行くの!?大丈夫!??
あなたはただでさえ、美人で目立つんだから
少しくらい、髪をぼさぼさにして
行った方がいいんじゃない!??」
月「Aがそれくらいで
地味になる訳なかろう!!
ちょっと待ちなんし!
わっちの地味な着物を貸してやる!」
日「ああ!あの、昔着てたやつ!?
あー、でもダメね!
髪ぼさぼさであんな地味な着物着てる、
規格外の美人なんて、逆に目立つ!
むしろ、目立つ!!」
月「…っく!一体、どうしたら…、
とりあえず、笠を被って行きなんし!
日輪の部屋にあったじゃろう!
あのバカでかいやつ!」
日「取ってくるから!待ってて!」
どたどたどた…
きぃきぃ……
「……、」
?「ふたりとも嬉しいんだよ」
「!!晴ちゃん!」
晴「ずーっと気にしてたんだよ、
あのふたり。Aちゃんが
ここを出ようとしないって」
「……え、」
去って行くふたりに
呆気にとられていると、
突然後ろから声を掛けられ
振り返るとそこには
晴太くんが立っていた。
長い付き合いなもので、
お互いをちゃん付けで呼び合う仲だ。
晴「ふたりとも、Aちゃんのこと
大好きだからね。自由の身になった今、
もっといろんなことを知ってほしいんだって」
「……いろんなこと…」
晴「あ!俺もね!俺も!
Aちゃんのこと大好きだからさ、
ここに縛り付けられてるような姿はさ…
正直、もう見ていたくないよ。
外は楽しいから…あー、
あのふたりのことはいいから
ほら!行っておいで!!
銀さんに逢いに行くんでしょ?」
「!なんで、それを…」
晴「ライバルがしそうなことくらい、分かるよ!
俺はあのふたりを誤魔化しておくから
行ってきな!気をつけてね!!」
晴ちゃんはそう言って、わたしの背中を押すと
手を振り、笑顔で見送ってくれた。
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作者名:美雨 | 作成日時:2019年2月27日 23時