一緒 ページ14
「お越し下さり、ありがとうございや…、」
銀「…よっ!!」
「え、…あ、銀時さ…ん!」
銀「また来るって言ったろ?」
ぴしゃんっ
あれから、2日経ち
今宵もいつものように
常連を待っていると
部屋に現れたのは銀時さんだった。
「あ、あの…この前、
来てくださったばかりなのに…」
銀「あー、そうだったっけ?」
「……、銀時さん。
し、失礼ながら万事屋さんとは
そんなに、その繁盛するお仕事なのですか?
この部屋に入るのは少しばかり、」
銀「ああ、まぁね。
万事屋さんはね、正直全然儲からない!
だから、俺も追い返される覚悟で来たのよ。
でも何故か、あの死神太夫がね、
ツケ払いでいいって入れてくれたのよ。
上物の常連客が来ない時だけだって、言われたけどな」
「…つ、ツケ?そんなシステムあったかしら」
銀「まぁまぁ、だからんなこと
気にしてくれなくていいから!な?
友達が友達に逢いに来ただぁけ!
また話したくなっちゃったの」
「…あ、友達…、、」
銀「そ!」
銀時さんはへらり、と笑って見せ
わたしにお酌頼む、と
お猪口を差し出した。
銀「へぇー、Aちゃんは
源氏名じゃねえのか」
「ええ、と言っても
親に付けられた名前など
覚えていないので、
売られた先で付けられた名を
ずっと使っているだけです」
銀「…そうか。俺も親いねぇんだけど、
よく覚えてねぇもんなぁ」
「…一緒ですね」
銀「!…一緒だな」
にっこり微笑み、くいっと
お酒を流し込む銀時さん。
わたしはその横顔を見つめる。
何が違うのかしら。
ここに来る、男の人は
大抵、気品はあるが横暴で
まるで女を自身の価値を上げ下げする、
装飾品のように思っている人ばかり。
そうでなくとも、
仮初の愛情で
欲望を埋めようと
必死な人ばかりで。
ふわふわ揺れる銀髪も、
何もかもに興味がなさそうな眼も、
取り巻く、縛られることのない振る舞いも、
何もかもが違う。
あの、朝
わたしを包んだ、不思議な感覚は
銀時さんと過ごす今も
わたしをやんわりと包み込む。
空間が歪むようになだらかに流れる時間。
心地良いな。
でも、
「……銀時さん」
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作者名:美雨 | 作成日時:2019年2月27日 23時