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見得ない足枷 : 銀時 ページ15

銀「ん?」



名前を呼ばれ、眼を合わせると
少しだけ、遠慮気に
でも、きっと
いつもしているように




「……何も、しないのですか」




俺を誘った。




「…その、二回も
来てくださっているし
吉原を救ってくれたお方で
お得意さんなのに
前回は話した、だけでしたし」




本来なら、ここで
もちのろんでやる!!!と
尻尾を振り乱し、飛びつくとこだが




Aちゃんの考えていることが
どうしてか、分かる今
俺はここに来た意味を
もう一度、大きな眼を見つめながら伝える。




銀「してるじゃん」


「…え?」


銀「話し。してるだろ?
それにさっきも言ったけど、
俺は友達と話しに来たの。
ただそれだけ」


「……でも、」


銀「何?俺じゃ、話し相手にもならない?
Aちゃん、友達と言えど辛辣ー!」


「いえ、そうではなくて…!」


銀「じゃあ、いいでしょ。
ね、もっと話し聴かせてよ。
あー、好きな食べ物なに?
団子好き?」


「え、……ええ。
あまり食したことがありませんけど」


銀「え!?マジで!??なんで?
今度来る時、買って来てやるよ。
あんこ?みたらし?何が好き?」


「あ、………あんこ?」


銀「へへ、また俺と一緒!了解!」



困惑しながらも、そうなんですかと笑う
Aちゃんの笑顔は
いつもと変わらない。


それでも、俺を今まで
相手して来た男として扱うことが当然で
そして、その当然が
俺には耐えられそうになくて。



銀「かぶき町にある、団子屋が
これまた絶品でよぉ」



なんとなく、話していないと
自分の中に生まれた、
居た堪れなさと
嫌悪感に飲まれそうで。



銀「あ、っていうか
休みの日にでも
かぶき町、ウロつこうよ。
そういうのはダメなのか?」


「…休みの日であれば、
問題はないと思いますが。
でも、……わたしは、、」


銀「?あんまり、外出ねぇの?」



こんな美人が歩いてたら、
すぐさま、噂になること間違いねぇけどな。



「…この5年、吉原を出ていないので」


銀「は?5年も?だって、今は自由だろ?」


「そうですが、…出たいと思わないので」


銀「……なんで?」






「…………だって、




出たらきっと
ここへ帰りたくなくなってしまうでしょう?」





鳳仙亡き今も、
生まれながらにしてこの世界にいる彼女には
見得ない、足枷が嵌められていた。

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作者名:美雨 | 作成日時:2019年2月27日 23時

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