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紙とインクの香りの立ち込める2人きりの待合室。バケツをひっくり返したような鮮やかな橙色を背景に、向かいのソファに座り込んだ我が校の教員であり、プロヒーローの相澤消太は気怠そうに口を開いた。
「……お前、このまま将来どうするんだ。」
「……さぁ、どうするんでしょうね。」
「お前なぁ、」
呆れたように肩を竦める先生は、机の上に置かれた真っ白な進路希望と書かれた紙を恨めしそうに一瞥する。私はそんなのお構いなしとでもいう風にペットボトルに数口分残ったお茶を飲み干した。
「いいか？俺はもうお前の担任じゃないんだ。それを、お前のあまりにもお粗末な態度のせいでこうして呼び出されている。あまりにも非合理的だ。
俺が可哀そうだと思わないのか？」
「えー、私だってこんなに頑張ってヒーローの卵してるのに、散々他人の価値観で勝手に是非を決めつけられて、可哀そうだと思いません？」
「全く。」
「即答。」
上記の会話からお判り頂けるように、相澤先生は私が一年生の時の担任だ。
私はこの春、晴れて雄英高等学校の三年生に進級した。
成績優秀、品行方正、文武両道。
私という人間を表す言葉は幾つもある。
私が本当に手に入れたい言葉はそこにはない。
「私だって、しっかりヒーローを目指してこの二年間汗水垂らして励んできたんです。ただ、学べば学ぶほど、知れば知るほど、何もかも分からなくなってしまう。
前も後ろも、正しいことも悪いことも、もう何も分かりません。だから今一度問います。……先生、私はどうすればいいのでしょうか？」
「知るか。自分で見つけろ。」
「あなや、手厳しい。」
とんだ茶番だと席を立ち帰る準備をする相澤先生。
やっと解放されると、私も荷物をまとめる。
先生のその背中が、ふらつきながらも必死に前を見つめていて。
歪み、捻じれ、転がった先に、私も何かを見つけられるだろうか。
その答えが知りたくて、気付けば言葉を綴っていた。
「………先生は、前世って信じますか？」
「くだらないこと言ってないで早く帰れ。そして進路先を決めろ。」
「おや、怖い怖い。言われなくても帰りますよ。鬼が出ないうちに、ね。」
＿＿＿＿＿＿＿ねぇ、先生、前世はあるんだよ。
だって私は、二年前の入学式、全てを思い出したんだから。
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！！！(プロフ) - ほしくずさん» ありがとうございます！！特に気を遣っている部分なので気に入っていただけて嬉しいですです(；；)頑張らせていただきます！！ (2023年2月25日 18時) (
レス) @page19 id: 7d2d3f9643 (このIDを非表示/違反報告)
ほしくず(プロフ) - 刀剣乱舞の事は名前しか知らないのですけど綺麗で儚い言葉が沢山紡がれていて引き込まれてしまいました…！！応援してます！！ (2023年2月24日 22時) (レス) @page19 id: 64bb885ea9 (このIDを非表示/違反報告)
！！！(プロフ) - 百華夜さん» ありがとうございます(TT)拙い更新ではあえいますが頑張らせて頂きます…！！ (2023年2月18日 1時) (レス) id: 7d2d3f9643 (このIDを非表示/違反報告)
百華夜 - 神作品の予感が…！更新頑張って下さい、応援してます。 (2022年11月29日 21時) (レス) @page9 id: a48955bec9 (このIDを非表示/違反報告)
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