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「ごめんね、今日こんな話がしたくて呼び出したんじゃないの」



と、益々この人の目的がわからなくなる







少し明るい髪色、顎下で軽く巻かれている長めのボブの髪を耳にかけて





「タカちゃん、デザイナーとして声をかけられて来年開かれる新人コンテストに出場するつもりなの」














と。そんな話、三ツ谷くんからされてない
私は知らない、三ツ谷くんの話

知らないところで、気付かないところで三ツ谷くんはどんどん成長していく。どんどん遠くなっていく。

なんだかあの時みたいだ。1度近づいたと思っていた距離が結局また離れていく。結局私はそれを止められずにいる。




「そうなんですね、すごいですね三ツ谷くん」

別に喉は乾いていないのに、意味もなくアイスティーを喉に通す





ほんとだよね、と少し微笑む今カノさんが、もう一度口を開く














「その賞のために、来月末ロスにデザイン留学にいくの。私はタカちゃんについていく」












「……え、?」

感情が表に漏れないように、気を張って居たのに。
あまりに不意すぎて思わず声が漏れる





なんだろう、心臓は落ち着いてるのに頭が落ち着いていないというか、これを錯乱というのだろうか



「あなただったら、タカちゃんについていく?」







追い打ちをかけるような今カノさんの質問に、混乱して、追いつけなくて答えられずにいる



ついていく?ついていくって、ロスに?来月末?
ついていくって、大学もあるしそんな急に言われても。そもそも私ってついていっていいような存在なの?






即座に「はい」なんて言える訳もなくてなかなか答えが出せずに、喉で言葉を詰まらせていると




「ね?ついて来れないでしょ」



とさっきまでの穏やかな顔とは違う今カノさんの少し誇らしげなようなその顔と、態度に居心地が悪くなる




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作者名:Anju | 作成日時:2022年8月13日 17時

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