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25話 ページ25

秀徳の試合終了後。


トーナメント表を見るまで、火神は気づかなかったらしい。


正邦と秀徳の二連戦になることに。



「一日に二試合できて、両方強ぇなら願ったり叶ったりじゃねぇか!」


「いや、これはないって……」


「どんな強がりだよ!
なぁ黒子?」


「すみません、僕もちょっとワクワクしちゃってるんですけど」



火神と黒子の言い分に、一年トリオは驚きしか無かった。


そして降旗の一言が、



「何、お前も火神菌移ったの?」


「なんだよ、火神“菌”って!」


「それは嫌です」


「なんか否定の仕方もムカつくぞオメェ!」


「ふふっ、火神菌って」


「テメェはさっきから笑ってばかりか!!」



会話に混ざらすとも、後藤は震えていた。笑いを堪えて。


堪えきれてないが。



「でも、ピンチってちょっと燃えません?」


「……」


「……」


「はっ、よっしゃぁ!!
テンション上がってきたー!!」



ちょっと練習してくるわ!


するか!!休めよ!!



火神とリコの会話を横に、黒子は後藤に話しかけた。



「君は、どうなんですか?」


「何が?」


「このピンチ」



後藤は少し黙り込むと、腰に巻いているジャージの緩みを直した。


黒子が後藤の返事を待っていると、後藤はようやく答える。



「自分だけの戦いなら別に、なんだけどさ。
けどこのピンチは、君と、彼次第じゃないかな」


「……」


「かつての仲間を取るのか、今の仲間を取るか。
まぁ君がそう思ってるかは知らないけど」



後藤の言葉に黒子は顔を落とした。


そんな黒子の反応を見て、後藤は笑う。



「けどまぁ、それも人生だしね。
利用し利用され、決別して和解して、もう一度手を取り合うか」


「君は、理性的ですね」


「自分と彼らの違いは、お互いが敵同士だったこと。
それから、強い味方しか居なかったから、かな」


「そうですね……」


「ねぇ、人を信じるのは怖いことだよ。
けど、期待することも辛いことじゃない?」



特に一方的なものは。



黒子は後藤の言葉に今度こそ黙り込んだ。


時々思うことがある。


彼は本当に同い年なのかと。



「君は、本当に同い年ですか?」


「失礼な。
殴るよ」


「いて」



思わず出た言葉で何があったかは秘密だ。

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美園(プロフ) - 更新ありがとうございます!めっちゃ好きです (1月2日 18時) (レス) @page42 id: 0b7aaa97b0 (このIDを非表示/違反報告)
こと(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!!続き待ってます!! (12月27日 10時) (レス) @page41 id: 8bdd3d2cd9 (このIDを非表示/違反報告)
メンヘラ君。(プロフ) - 夢主君かっこいいですね!更新楽しみにしてます!無理せず、がんばってください! (2023年3月31日 22時) (レス) @page10 id: 49ed8a4d79 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:塩こんぶ | 作成日時:2023年3月18日 23時

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