17話 ページ17
それから数日、インターハイ予選が始まる。
東京都内の高校バスケ部とトーナメント戦だ。
それに当たって、セネガル人留学生が高校一年生にしてお父さんと名前が付き、後藤と、名付け親の黒子以外がツボにハマった。
「君はいつも笑いますけど、爆笑まではしないですよね」
「良いんだよ、いつも笑顔だから」
後藤はそれだけ言うと、体育館から出ていった。
練習はこれからだが、ふと外の空気が吸いたくなった。
「……やっぱ、空は広いな」
後藤は晴れた青空を見上げて、まぶたを閉じた。
すると何もかもが敏感になった。
だからこそ気づけた、彼の気配に。
「後藤、どうした?」
「……どうも」
やって来たのは伊月だった。
彼お得意の鷲の目で見られてたのかと推測した後藤は、笑顔を貼り付ける。
「別に。
ただ、外の空気を吸いたくなっただけですよ」
「そうか。
俺も一緒にいいか?」
「なんで自分に聞くんです?」
「先に居たのは後藤だろ?」
笑顔を浮かべた後藤は、伊月の表情を見て頷く。
「良いですよ」
「ありがとな。
それと、聞きたいことがあった」
「……なんです?」
「俺は小学の時からミニバスでバスケをやってた」
「……それで?」
「どうして勧誘を断ってまで帝光中に行かなかったのかなって」
伊月の言葉に、後藤は表情を変えることなく見つめる。
目力を加えたにも関わらず、伊月は負けなかった。
「お前ほどの才能があれば、即座にレギュラーになれただろ」
「帝光中の制服が嫌いだっただけです」
「は?」
「いや、普通に嫌じゃないですか。
水色のワイシャツに白のジャケット、勘弁してくださいよ」
思ってもなかった返答に伊月は呆気取られたが、雰囲気が変わった後藤は冷たく言い放つ。
「それに、勝ち続ける試合なんて面白くないじゃないですか」
その一言を聞いた黒子は、かつて自分を見つけてくれた光と合わせていた拳を握った。
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美園(プロフ) - 更新ありがとうございます!めっちゃ好きです (1月2日 18時) (レス) @page42 id: 0b7aaa97b0 (このIDを非表示/違反報告)
こと(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!!続き待ってます!! (12月27日 10時) (レス) @page41 id: 8bdd3d2cd9 (このIDを非表示/違反報告)
メンヘラ君。(プロフ) - 夢主君かっこいいですね!更新楽しみにしてます!無理せず、がんばってください! (2023年3月31日 22時) (レス) @page10 id: 49ed8a4d79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:塩こんぶ | 作成日時:2023年3月18日 23時