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10話 ページ10

その後、黒子が復帰して三人を主力に動いていた。


そのチームの動きに黄瀬は目を見開く。



「一度失くしたものは、二度と戻って来ない。
それが、心が通ったものなら尚更」



後藤は黄瀬の横に立って告げた。


黄瀬は後藤を睨もうとするが、笠松の呼び掛けに反応して動き出す。



「全員、潰すよ」



彼の言葉を聞いた伊月は、ふと後藤の背中に手を当てた。


その瞬間、後藤の足が止まった。



「後藤、大丈夫か?」


「……?」


「お前、辛そうだぞ」



その一言に後藤は力が抜けて、崩れ落ちた。



「後藤!」


「おい、大丈夫か?」



後藤が崩れ落ちた時、近くに小堀も居て駆け寄ってきた。


伊月に支えられて立ち上がる後藤は、息を吐き出した。



「大丈夫です。
力が抜けただけなので」



先程のように尖った雰囲気ではなく、穏やかな雰囲気になった後藤。


伊月は後藤の背中をもう一度撫でて正面を見る。



「分かってると思うけど、敵は黄瀬じゃない。
海常バスケ部だ」


「はい。ありがとうございます」



後藤は伊月に押されるようにして、前線に立った。


ポジションとしてはスモールフォワードに位置する後藤。


一人で攻めも守りもできる万能選手。



「任せたぞ」


「はい」



後藤は走り出して、ボールを奪おうと笠松とすれ違った。



「させっかよ」


「いや、取るよ」


(なんつープレッシャーだ!)



後藤は一歩引いたところでディフェンスに入る。



「笠松先輩!」


「黄瀬!」


「こっちだ!」



後藤は笠松たちのゲームメイクに騙されることなく、森山にパスされるはずだったボールをカットした。



(嘘だろ、今ので騙せねぇのか!)


「走れ!!」



伊月の一声に後藤は走り出した。


たった一人で攻めることができる後藤は、笑いながら小堀たちを抜いた。



「上がガラ空きですよ」


「レーンアップ!?」


「あの体格で出来るわけねぇだろ!?」



ところがどっこい。


彼は天才だ。黄瀬が言うように、キセキの世代になれるほどの選手。



「天才舐めないでくださいって!」



リングから手を離した後藤は着地して振り返る。



「これくらいできなきゃ、自分で天才なんて言ってませんよ」



後藤が笑った。


170弱しかない彼が、レーンアップでのダンクシュートを決めた。


その事が両校に刺激を与えたのは言うまでもない。

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美園(プロフ) - 更新ありがとうございます!めっちゃ好きです (1月2日 18時) (レス) @page42 id: 0b7aaa97b0 (このIDを非表示/違反報告)
こと(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!!続き待ってます!! (12月27日 10時) (レス) @page41 id: 8bdd3d2cd9 (このIDを非表示/違反報告)
メンヘラ君。(プロフ) - 夢主君かっこいいですね!更新楽しみにしてます!無理せず、がんばってください! (2023年3月31日 22時) (レス) @page10 id: 49ed8a4d79 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:塩こんぶ | 作成日時:2023年3月18日 23時

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