19話 貴方のこと知りたい 【作哉】 ページ20
安室さんは、まだ来ないようであのタケノコみたいな眉毛の人はスマホをかまいだした。お兄ちゃんほどではないけれど、人間観察は好きな方でその人の仕草や視線の動きから何を考えているかなど分かるようになってきた。
お母さんも、そうだったように。
「お母さん、あのね…」
「何隠してるの?もしかして、プレゼントかしら?」
「え、なんで分かったの?」
なんて、隠し子としてもすぐに見破られてしまった。今となっては、隠し方が下手だった私が悪いと思うけど、お母さんはどんな小さな変化にも気づいてすぐにそれを拾い上げていた。
お父さんはまた、違っていたけど。お兄ちゃんはお父さんに色々教えてもらっていたみたいだし。
と、店のドアが開き、褐色肌のイケメン様がはいってこられた。
「おはようございますッ!安室さん」
「ああ、おはようございます。綾さん」
安室さんは私を見るなり、王子様スマイルで挨拶を返してくれた。何て幸福なんだろう。その後、安室さんは席に座っていたタケノコ眉毛さんをちらりと見てバッグヤードの方へ向かった。
やっぱり、安室さんもあの眉毛気になるんだなと思った。
でも、スーツでスマホかまってて、まだ昼休みには早すぎるし休みなのにスーツ?もあり得ない、事も無いけど珍しい。通勤時刻はとっくに過ぎてるような気がするし。
「お待たせしました。ご注文何にしますか?」
「えっと、安室さんのおすすめ料理、手料理食べたいですッ!」
「……では、ハムサンドではどうでしょうか?僕が考えたメニューなんですけど」
「んじゃ、それで」
「はい」
と、安室さんは元気よく返してくれた。
本当に王子様みたい。女の子に優しいし、いつも笑顔で。私は、ハムサンドを作っている安室さんをずっと見ていた。すると、安室さんと目が合った。
「そんなに見られると、照れますよ」
「え!?もう、照れちゃって下さい。それとも、私に惚れました?」
いきなり、安室さんの口からそんな可愛い言葉が出たので私は嬉しくなってそう返した。その後何も返ってこなかった。滑ったな。
と、一人落ち込んでいると安室さんとまた目が合った。
「何ですか?」
「あ、いえ。昨日コナン君から聞いたんですけど、綾さんのご家族って……」
ズキッと、胸が痛む。
あれ?なんで、そんなこと聞くのかな?私は、不思議と安室さんを睨んでいた。そして、仕方なく答える。
「ええ、死んでますけど何か?」
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