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「…もういっその事、アタシがあの子の全てを管理すれば、いいのかしら?ふふっ」
血痕をつけながら、男の元まで着く。
「あの子に申し訳ないこと、しちゃったわ」
「お前らみたいなのを早く消しておけば、あの子が傷つくことなかったのに」
男の口が、ガムテープの下で動いた。
「なに、聞こえない」
「……まあ聞く気もないけどな」
「あんたは今からオレに殺される。何を言ったところでそれは変わらない」
「あの子を傷つけて苦しめた罪は重いんだよ」
「だから、死ね」
・
「最近物騒ねぇ」
憂鬱な気分を消すように、ニュースを報道していたテレビを消した。
あんたはソファに座りながら、アタシの意見をそうだねと相槌を打つ。
「そうそう、バイト、ちゃんと休みにしてるわよね?」
「ふふ、いい子」
「女の子一人で出歩いてたら何があるか分からないしね」
頭を撫でてあげると、あんたは表情を緩ませた後、申し訳なさそうに曇らせて口を開けた。
「あら、いいのよ。気にしなくて」
「殺人事件だの失踪事件だの、ここらで起きてるんだもの。怖くなって当然よ」
「落ち着くまで、アタシの家にいていいわ」
(ニュースを見て、彼女が怖がってくれたのはアタシにとってとても好都合なことだわ)
ありがとうとあんたはアタシに礼を言う。
謝罪もお礼も、これで何度目だろう。
「だ・か・ら、気にしないでちょうだい?」
「アタシも正直心配だったのよ。だからこの方が安心できて嬉しいわ」
「何かあってからじゃ遅いものね」
(アタシの家にいればいい。その提案を呑んでくれて…ああ、本当にアタシも安心よ)
(この部屋に置いておけば、怖いことも傷つくこともない)
(アタシが食事管理や体調管理してあげれば風邪をひくこともないし、注意を向けていれば怪我をすることもない)
(アタシ以外いない空間なら、誰かに傷つけられることもない)
(ここにいれば絶対に安心できるのよ)
「なんなら、ずっとここにいてもいいのよ?」
「一緒に住んじゃいましょうか」
あんたはそれを冗談だと思って笑う。
(…本気なのにな)
でも、今はそれでいい。
今でも十分彼女を守れるから。
「良い笑顔ね、やっぱりステキ」
「そう、そうやってあんたは笑っていてちょうだい」
(彼女はずっと笑顔でいられるに違いない)
(だって、)
(アタシが守ってあげるんだから)
何も知らない笑顔に、アタシも笑みを向けた。
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林檎麻(プロフ) - お久しぶりです...!!リクエスト受け取ってくれてありがとうございます..!!とっても満足しました!! (2017年11月7日 23時) (レス) id: 5f64ee0b75 (このIDを非表示/違反報告)
不雲綺(プロフ) - ミユティさん» こちらこそありがとうございました!これからも彼に振り回されてやってください(笑 (2017年11月6日 22時) (レス) id: ccdc96260d (このIDを非表示/違反報告)
ミユティ(プロフ) - 久々の小見川くん、とても良かったです!!!!!良く考えたら小見川君のリクエストはこれで二回目ですね笑リクエストに答えて下さり本当にありがとうございます! (2017年11月6日 21時) (レス) id: ffac928163 (このIDを非表示/違反報告)
ももか(プロフ) - 不雲綺さん» そうだったんですか、全然大丈夫です!これからも更新頑張ってくださいね (2017年11月3日 22時) (レス) id: fd489c71d0 (このIDを非表示/違反報告)
不雲綺(プロフ) - ももかさん» 申し訳ありません。この作品は今リクエストいただいてるものを書き終えたら更新を一時停止する予定でして…リクエストは受け付けておりません。説明文にリクエスト中止と表記しておらず、申し訳ありませんでした。 (2017年11月2日 18時) (レス) id: d72d593e93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:不雲綺 | 作成日時:2017年8月29日 17時