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「そんなことないって……やだもう、あんたはすぐそういうこと言っちゃうんだから」
ドキドキしている心臓にトドメをさすように、あんたは、いつも格好いいから安心してと言い放ってしまう。
(この子は、本当…)
アタシを殺す気かしら。
ズキュンと音を立てた心臓は正直、
「ええ、あんたがそう言ってくれるなら安心しておくことにするわ」
なんて何でもない風を装えていることが奇跡だと感じるほどに、今にも爆発しそうだった。
時折さらっとこういうことを言ってしまえるこの子は、ある意味危険だわ。
「…そういえば、さっきの質問なんだけど…」
「ええ、こんな時間まで、何をしていたの?」
さっきとは違い、落ち着いた様子で聞きだすと、あんたは「バイトで」とその先の言葉を濁らせながら頬を掻いて言った。
「…さっきまで、バイトしてたの?」
一応笑って見せているが、その笑顔はどこかぎこちない。
「は?ちょっと、あんた、この時間にシフト入れてるワケ!?」
「遅い時間は駄目ってアタシ言ったわよね!?」
「違う?じゃあ何、延長されたってこと??」
「ちょっと、店長さんのとこまで案内しなさい、一発ぶん殴んなきゃ気が済まないわ!!!」
彼女の返事も待たずに回れ右をしたアタシをあんたは必死に止める。
「止めないでちょうだい、こんな時間まで女の子を働かせるなんてどういう神経してんのよ!!」
「しかも帰り道を一人でだなんて何かあったらどう責任取んのよ!!」
いや、他の人がこの子を送って行くというのも複雑だけれど。
ようはこんな時間まで働かせなきゃいいのよ。
湧いてきた怒りを抑えることも出来ず、大声を出していると、あんたが違うからと少しだけ声を張った。
「働いてたわけじゃないって……なにそれ、もっと問題よ」
「どういうこと、もっとちゃんと詳しく教えなさい」
体を彼女のほうに向け、両肩を掴んで顔を近づける。
威圧感があったのか、あんたは一歩だけ足を後ろに引いた。
そうしてから、口を開く。
「…変な客に絡まれてたって…」
「は あ ?」
「…」
「……殺してくる」
「落ち着いてる、十分落ち着いてるわ!だから止めないで!!」
「大丈夫だからって…はあ!?全っっ然大丈夫じゃないわ!!何言ってんのよあんた!!」
「そんな奴ら、殺してやんなきゃ駄目よ!!」
先ほどの怒りが何倍にもなって腹の底から湧いてくる。
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林檎麻(プロフ) - お久しぶりです...!!リクエスト受け取ってくれてありがとうございます..!!とっても満足しました!! (2017年11月7日 23時) (レス) id: 5f64ee0b75 (このIDを非表示/違反報告)
不雲綺(プロフ) - ミユティさん» こちらこそありがとうございました!これからも彼に振り回されてやってください(笑 (2017年11月6日 22時) (レス) id: ccdc96260d (このIDを非表示/違反報告)
ミユティ(プロフ) - 久々の小見川くん、とても良かったです!!!!!良く考えたら小見川君のリクエストはこれで二回目ですね笑リクエストに答えて下さり本当にありがとうございます! (2017年11月6日 21時) (レス) id: ffac928163 (このIDを非表示/違反報告)
ももか(プロフ) - 不雲綺さん» そうだったんですか、全然大丈夫です!これからも更新頑張ってくださいね (2017年11月3日 22時) (レス) id: fd489c71d0 (このIDを非表示/違反報告)
不雲綺(プロフ) - ももかさん» 申し訳ありません。この作品は今リクエストいただいてるものを書き終えたら更新を一時停止する予定でして…リクエストは受け付けておりません。説明文にリクエスト中止と表記しておらず、申し訳ありませんでした。 (2017年11月2日 18時) (レス) id: d72d593e93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:不雲綺 | 作成日時:2017年8月29日 17時