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…3…1 ページ33

――おにぎり、食べたいな…。


思わぬことに、その思いを鼻で笑ってしまう。

今日くらい、外に行っても平気だろうか。

そう思い

恐る恐る扉に手をかける。


…だが


…人は怖いらしい。



人間以外の、化け物同然の生き物を目にするのが。



外に出るなり人間と遭遇し

彼らは怯えて走って逃げてしまった

いきなり驚いた声をあげられたものだから

こちらだって驚く。


しかし、彼らはそれよりも大きく反応をし

化け物を見たと逃げてしまった。


…やはり、

あちらにとっては、人間ではないというのは怖い事なんだろうか。

特に深く考えることも無く

もう一度家の中に戻った。


今、自分は結構驚いた

反応こそしなかったものの、心臓がバクバクと言っている。

なので、一歩出るのに勇気が出なかった


…それに、よくよく考えれば

その怯えられる姿で表に出ても

おにぎりの一つも貰えないだろう


その日を境に、何故だか日常がまた崩れ始めた


外でよく、人間の声を聴くようになった

今まで以上に聞くようになった


何だと、顔だけ覗くように外に出すと

いくつかの人の去っていく足音だけが聞こえ

子供の小さくなっていく背中だけが見えた



そう、声を聴くようになったと思えば

またぴたりと人が通らなくなったりもした



人が通らないなら好都合と、部屋の中で丸まっていた体を外にだし

軽い運動…散歩をした

何時になっても人が通らないので

なんだか独り占めしている気分にも浸れたが

同時に

独りぼっちなんだと感じた


景光たちを離れてもう何年もたったであろう、ある日

こんな話を耳にした。


「山の中に化け物がいるらしい

そいつがこの村に災いを起こしているんだ」


…まさか、自分だろうか。

そうは思ったが、災いなど知らない。


――けれど、そのまさかだ。


またある日

散歩中に大勢の叫ぶような声が聞こえた

その声のする方を向くと、刃物を持った人間に、明かりを持った人間、棒を持った人間

何かしら持っている団体が目に映った


「化け物だ」


その団体の誰かが、そう声をもらしたのをこちらはしっかりと聞き取った

団体がこちらに刃物を向けながら近づいてくるのも見えた


逃げろ


と脳が命令する前に

体は勝手に走り出していた


その時は、その人間たちもまさか本当に化け物がいるとは思わなかったのだろう

気を緩めていたらしく、すぐに追いかけては来なかった。

…3…2→←…3…0



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明都 - 妖狐、悩んでますね……景光達との再会があるのか、気になるところです。 (2015年2月21日 14時) (レス) id: 5d47ba764e (このIDを非表示/違反報告)
不雲綺(プロフ) - 明都さん» 手合せは比良裏乱入して来たら私得です…(笑) (2015年2月14日 14時) (レス) id: 30ec80f3f5 (このIDを非表示/違反報告)
明都 - 続き読みました♪景光と妖狐の手合わせ……どちらが強かったんだろう?そして、ほのぼのな感じが良かったです。景光と妖狐達の再会はないのかな?続き楽しみです♪ (2015年2月14日 14時) (レス) id: 5d47ba764e (このIDを非表示/違反報告)
不雲綺(プロフ) - 明都さん» 餌付けです。簡単についていっちゃいますよ~(笑) (2015年2月8日 0時) (レス) id: 3c3d70d76d (このIDを非表示/違反報告)
明都 - 続きも素敵です♪景光さんに餌付けされたのね(笑)逃げてきたぽこも、可愛かったです!続き楽しみにしてます。 (2015年2月7日 13時) (レス) id: 5d47ba764e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:不雲綺 | 作成日時:2014年9月19日 19時

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