マイペース妖狐と曇兄弟の生活。

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「…」



目の前にいるのは

小柄な男。



「これくらい食え」


「…」



山の奥で、膝を抱えながら

うずくまっている、こちらにその男は食べ物を差し出してきた

…何かは分からない

なんか、白くって

小さいものが集まってるような気がする。



「毎日こないところで何しとるんや」


「…寝てる」


「それ以外は」


「…起きてる」


「せやからなぁ…」



男は、ほとんど毎日こうやって

こちらの世話焼き係とでもいうように、食べ物を持ってくる



「起きているときは、何も、しない」


「…ずぅっとこう座っとるだけか!?」


「…あぁ」



はぁー…。

と驚いたまま納得したような声を出すと

小さく開いていたこちらの口に食べ物をねじ込んだ



「まぁ何でもええわ。とりあえず食え!!」



ねじ込まれたものを一口噛んで食べると

中に赤い…なにか…



「…っ！」


「一口大きいな…あ?どうしたんや」


「…すっぱい…?…しょっぱい…?」


「しょっぱ…?」



それは違うだろうと顔を歪めた男は

すぐに笑顔になり



「梅干し知らんのか」



そう言った。

聞いたことはあるけど知らないな。

その言葉に一応頷くだけ頷いて



「…頂戴」



まだ男の手の中にある白いものをねだった



「これはおにぎりや。覚えろ」


「…あぁ」



覚えなくても、平気そうだが。


…これが曇家との出会い。

まぁ餌付けみたいなもんだけど。



「まったく…」



そう言う女性は牡丹。

目の前にはその小柄な男…景光と

牡丹LOVEな比良裏という男が正座をしていた

二人が何かやったんだろう。



「牡丹も大変だ」


「そうだな」


「…佐々木はいつでも外から見ているのか」


「見ている側は、意外に楽しいものだ」


「…まあ、うん」



あの男に餌付けされて以来

曇神社で住まわせてもらっている

騒がしくなる、と佐々木は言うが

自分がいてもあまり騒がしさは変わらないのではないだろうか?



「おや」



足元まで来た動物を抱える



「説教から逃げてきたのか、ぽこ」



ぽこを肩に乗せて、説教をされているところを縁側に座りながら見る

…と、ちょうど佐々木がお茶を入れてくれたようで

それをいただいた。



「あついぞ」


「平気だ」



ごく、と熱いままのお茶を一口



「牡丹、説教は終わったのか」



此方に歩み寄ってきた牡丹の顔は

疲れ気味だ。



「えぇ。…多少の騒ぎなら構わないのですが、生活に支障が出るほどだと困りものです」

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