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「ランサー。止まって……。」
セイバーと組み合っていたランサーが後方に退く。
「何のつもりだい。ランサーのマスター。」
「あら…私、あなたの事、結構気に入っているのよ…?あなたの過去も、今も、ね。」
「だから何だと言うんだ。」
「手を、組みましょう…」
「今更そんな事を言わないでくれ。マスターである彼女を傷付けた時点で、僕の意思は変わらない。」
「私は、聖杯の力をコントロールできる…。昔、彼らの母君から教えてもらったのよ。もしあなたが聖杯戦争に参加するのなら教えてあげる、と…。だから、あなたが私に協力すれば、私は彼女を殺さない。あなたの望みを叶えられるだけの聖杯の力も分け与えられる。どう……?条件としては充分でしょう?」
「だが……」
「私はあなたの望みを知っている……。辛かったと思うわ…父は違えど同じ母から産まれた姉と一夜を共にし、そうして産まれた息子に頭を悩ませながらも、ブリテンを崩壊させまいと頑張って来たのだもの……」
全て彼に分かっているように、ソフィアにとっても彼の思考は容易く読み取れた。要は、あの選定の剣を抜かなければ良かったのだ。そうすれば、彼の息子、モードレッドが産まれることも、円卓の騎士が後々崩壊する事も無かったのかもしれない。
ソフィアは誘惑するようにセイバーの胸に装着されている甲冑を指先でなぞる。
「選定の剣を抜かなければ……そうすれば、あなたの戦いは終わる…。こうして苦しまずに済む…毎回聖杯を通じてマスターに呼び出される事も無くなる……。」
「セ、イバー……」
「マスター…!!」
「いいの…?その手を取れば、あなたは願いを叶えられなくなるかもしれないわよ……?」
「……あぁ、いいさ。たとえ願いが叶うまいと、その聖杯が、必ずしも正しい物とは限らない。それに何より……僕は、アナと聖杯戦争を遂げたい。」
「そう……それは残念ね……」
「セイバー!令呪をもって命ず!!ランサーを、宝具で倒しなさい!」
アルラーナが令呪を振りかざす。セイバーは力を宿し、膨大な魔力を纏った。
「ありがとう、アナ。」
「シール・サーティーン、デシジョンスタート!是は、世界を救う戦いである___!」
聖剣が光を帯びる。魔力量が半端じゃない。きっと…これを放った後、セイバーは消滅するだろう。この魔力量はサーヴァントにとっても持っているだけで辛いのだから。
「エクスカリバー!!!!」
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作者名:白咲 アオン | 作成日時:2017年12月11日 20時