【Fate/Promise】 (ページ32)

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Breakdown ページ32

「あ……や、ライダー……」

金髪のツインテールをなびかせた女性が、クロエの肩に手を置いて、クロエにニッコリと微笑みかけた。

「クロエ……私達が居なくなっても…きっと……あなたは…素晴らしい魔術師になるわ…だから……」

「いや！ライダー！！イヤァァ！！！」

「ランサー…片方をお願いするわ。」

「儂は、この様な不公平な戦いは好まん。」

「そう…なら、令呪をもって命ず。ランサー…その白い髪のライダーを殺しなさい…」

赤い閃光が部屋全体に広がる。ランサーの額から汗が滲む。

「ラ、イダー…」

「もう、良い。ランサー、ありがとう。最期にボク達に情けをかけてくれて。ミヒューズ、もうこんな事はするな。分かったね？」

「え……」

どちゃり。槍を垂直に刺された白髪の少女は光となって消えた。
ランサーが息を荒らげる。令呪に逆らうのは相当の根気がいるのだろう。

「だから……クロエ…お願い……」

ソフィアが銃口をライダーに向ける。

「止めろッ！！！」

ソフィアに突進する。小さな悲鳴をあげてソフィアが倒れる。銃は壁際まで飛んでいった。

「ライダー、しっかりしろ…おい！」

「ごめんなさい…助けてもらって……」

「いいから逃げろ、クロエとあいつを連れて！」

「もう無理よ。メアリーが消えたんだもの…私ももうすぐ消えるわ」

そう言った彼女からは金色の光がどんどん出ている。消滅の前兆だ。

「クロエ、いい？私は、聖杯からあなた達の元へとやってきた。それは聖杯に託す願いがあったから。でもね、もういいの……あなた達が、幸せになってくれれば…それで……」

「アイソレーション家の当主。あなたに彼らを任せても良いかしら…これは、メアリーも一緒……私は…この子達と、もっと一緒に暮らしたかったけれど……ね…」

苦しそうに喘ぎながらライダーは言葉を紡ぐ。その時、クロエが令呪をかざした。

「令呪をもって命ず……。ライダー…幸せに、なってね…」

「……いい子ね、クロエ。」

ライダーが消滅した。彼女は最後まで、笑みを絶やさなかった。

「クロエ。兄さんと一緒に、ルーディンオーズまで行けるか？」

「うん。大丈夫……。兄さんは、私がちゃんと…」

「よし、急ぐんだぞ。」

クロエは兄の元へ行き、連れて、外へ駆けて行った。

「アルラーナ。」

「人が物理的に殺されるのを、初めて見たわ」

目を見開いて驚いた表情で、彼女は泣いていた。
当のソフィアは、体制を整えて立っていた。涙を流さず真顔で。