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Light ページ33

「前から思っていたけど……やっぱりお人好しね…」

そう言うと、手のひらを上にして、何やら光のようなものを現した。

「それは…?」

「これは、あなた達の忘れていた約束……」

「何故それを君が知っているんだ」

「私もまた約束されたのよ…あなた達のお母様にね。」

「……は?何を、言って…」

「見れば分かるわ…。ほら……」

光が、暗い部屋に充満する。思わず目を閉じる。
__________________

目を開けばアルラーナはいない。横にはソフィアがいた。咄嗟に身構える。だが、彼女に敵意はないようだった。

久しぶりに見る白い風景。でも、これは夢じゃない。それだけは分かる。

「ソフィア、ここは」

「ここは、あなたの記憶……あなたが体験した事を、固有結界として現したもの…。」

「兄さん……」

シロツメクサがひしめき合う白い花畑で、少女がこちらを向いている。
やっと顔を見れた。今まで影で見えなかった顔が、見えた。淡い青の目。儚く、悲しそうに微笑む少女。

「お前は…アルラーナか……?」

ふるふると首を横に振る。

「兄さん…アナだよ…アナって言って」

「そんな、違う…アルラーナは…」

「あなたとアルラーナは…双子。あなた達は、血が繋がっている。」

「違う、違う違う!!」

何が違うのか自分でも分からない。でも、何かが違う。アルラーナはアルラーナだ。この少女がアルラーナというのなら、何故か、否定したい衝動に駆られる。

「兄さん、約束…」

「約束……?」

自分から信じられないほど小さく掠れた声が出る。

「そう、約束…私が十五歳になったら」

「殺してくれるって、約束。」

「どういう……事だ」

「あなたは幼少期、アルラーナと共に五歳になった時、あなた達が住んでいた家が火事になった……。両親は死に、アルラーナは死にかけだったらしいの…」

ソフィアは、ノアードとアルラーナが家から避難する際、アルラーナがハッキリとした口調で言ったという。

"殺して"と。

それは流石に無理があったらしい。十五になって、まだ死にたいと思っているなら殺してやると約束したという。
父母が亡くなった時、彼女は生きる糧を失くした。それから自分達は今のアルラーナの家系、チェルニゴフ家に行き、眠らされ、そして魔術により、その記憶だけを無くしたらしい。
アルラーナはチェルニゴフ家、ノアードはアイソレーション家の当主として。

そして、自分達が双子の兄妹だという事も忘れて。

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作者名:白咲 アオン | 作成日時:2017年12月11日 20時

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