Enemy ページ31
「よし、すぐ見に行こう。クロエ、家まで案内してくれ。」
「うん…!」
「ねぇ…あの子って?」
「あぁ、ルーディンオーズで知り合ったんだよ。良い花を教えてくれてさ…兄がいたんだな……」
アルラーナは若干違和感を覚えた。雪のように真っ白な髪、目は鮮やかな赤。半ば人間離れした容姿に、寒気がする程。
「ここよ…!」
二人共、ハッと息を呑む。そこは、バカでかい城__コロニナンカ家だった。
だが、こんな小さい少女を疑うわけにもいかない。彼女は本当に必死なのだ。自身の兄を救うために。
少女の案内で城内に入ると、人一人は暮らせるだろう広い部屋に連れ込まれた。
「やァ……おにーさん」
嫌な予感がしたのと、空間が結界に包まれるのは同時だった。
「ありがとう、クロエ。いやぁ〜、クロエがお兄さんを知っているのはなんとも都合が良い。」
「え……兄さん、腕は…?」
「あんなの、内側から魔力で消してしまえばどうということはないさ。」
少年は高らかに笑う。結界が張られているためか、ドアも開かない。
「無駄だよ…この聖杯戦争のためにどれだけ準備してきたと思ってるの。それに…協力者もいるしね」
暗がりから出てきたのは、ソフィアだった。
「ねぇちょっと本気!?」
アルラーナは悲鳴のように言葉を発する。隣にはランサーもいる。
「これで全員揃ったわけだ。サーヴァントが、ね。」
「ちょっと待って。アサシンとキャスターは?彼らの姿を見ていないけど。」
「あぁ、彼らなら一騎討ちをして両方とも消滅。所詮は魔術師と暗殺者。散り方もひっそりとだったよ。」
「その言い草は無いんじゃないか。」
「あれ、お兄さん彼らの味方をするの?もし彼らが生きていたらお兄さん死んじゃってるかもよ?」
クスクスと笑う。妹のクロエは信じられないというふうに口元を押さえていた。
「それに、サーヴァントを出して戦わないマスターなんて、聖杯戦争に出る資格、無いよ。」
急にトーンが変わる。
「ライダー、やっちゃえ。」
「残念だけど……無理ね…」
パァン、と。銃声が鳴り響く。クロエと同じ色の髪が薄らと赤に染まる。銃弾が少年の肩を掠った。
「……は?」
「外したわね……もう一回。」
「ミヒューズ!」
雪のような髪に青い目の少女が銃弾を弾く。ソフィアは彼を狙うのは邪魔が入るから、と次はクロエに的を変えた。
「やめろ、ソフィア!」
乾いた音がして、跪き、赤い血をドクドク垂れ流した。
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作者名:白咲 アオン | 作成日時:2017年12月11日 20時