6話 氷 ページ6
まるで旧知の仲のように抱きしめてきた三人
けど、私、
『ま、待ってください、
誰なんですか?』
知らない
私のその質問で空気が凍り付いたように重くなった
彼らの目は見開かれ、
先ほどの私のように急に言葉が出なくなっていた
その中で、一人
先ほどエレンに「兵長」と呼ばれていた人が
一歩前に出て私の肩を掴んで言う
「...は?うそだろ、」
瞠目した目に光る雲のかかったような空色の瞳から
目が離せなくなった
その瞳の奥の感情が透けて見えるようで
心が縮む思いだった
慌てたエレンがもう一度私たちの間に入って言う
「、兵長、俺から話します」
「リヴァイ、Aも驚いてる、少し落ち着け」
チッと舌打ちをして彼らとともに
エレンが促した奥の席に移動していった
「A、驚かせてごめん」
『、、ううん、私は平気、だけど_』
「少し待っててくれ、すぐ戻るから」
私の背中をさすってからすぐエレンは彼らのもとへ行った
一人残された私にはその会話は
店内の音楽にかき消されて聞こえない
すると
店の奥からでてきた店長が私に声をかけた
「あれ?お客さん?もう閉店の時間なんだけどなぁ」
『あ、えっと知り合いなんです
エレンの』
「そうなの?じゃあお店の鍵頼んでいいかな」
『あっはい、お疲れさまでした』
エプロンを取った店長は
鍵を預けて一足先に帰って行った
そして、この店には私たちだけとなった
出逢った時のあの感じ、みんなの時と似てたな、と思った
初めてエレン達にあったときも
おかしな反応をされたことを思いだした
あれは、3年前
大学に入学してすぐだった
___________________________________
「待って!おい!A!」
突然呼び捨てで名前を呼ばれ振り返ると
見知らぬ新入生のグループがいた
何で私の名前を知ってるんだろう、と不思議に思っていると
女の子が、ミカサが抱きついてきて
「A、会いたかった」
と言って泣き出した
そのあとアルミンからはいろいろ質問された
けれど結局何にも答えられなかった
さらに
風邪をひいているわけでもないのに
いいから、と押し切られて
エレンの両親の病院にまで連れられたけど
何の病名も告げられず帰って来た
彼らは何かを思い出させたかったようだったけど
私にはそれが何のことなのか見当もつかなかった
でもエレンに言われた言葉が今も脳裏に焼き付いて離れない
「忘れたのか?」
その声がとても哀しそうだったから
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レイ(プロフ) - 最高です!更新頑張ってください (2019年9月30日 21時) (レス) id: c196ca2279 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナツキ | 作成日時:2019年9月16日 17時