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21話 花束 ページ21

リヴァイSIDE_____



思い出の一杯がそこにあった
思わず顔を上げると
Aは微笑んで言う


「リヴァイさん、悩んでるみたいだったから
私の一番好きなのを淹れました
これはですね、_」

『ホワイトティー』



間違うはずがない、あの日の匂いによく似てる
当時の俺たちには超高級品で
エルヴィンが特別にくれたものだった
これを飲んだのはその人生で二回きりだった



「!紅茶詳しいんですか?」

『好きなだけだ、よく飲む』

「私もです、昔から大好きで
コーヒーより紅茶派です」

『俺もだ』



思わず息をのんでカップに手をかける

時をめぐってもう一度、
Aとこの紅茶を飲めるとは
、と考えてふとカップを置いた


『まだポットに残ってるんだろ?
だったら一緒に飲むか』

「いいんですか?」

『一番のお気に入りなんだろ』



Aは俺の誘いに無邪気に乗って
カップにとぽとぽと注いで、カウンターを回って
俺の隣に座った



「嬉しいです、いただきます」



Aが嬉しそうにカップに口をつける
のを見ながら俺も一口飲んだ

主張しすぎずほんのりとしていて、
甘みは強いのに後味は軽い
コロンみたいな華やかな香りはずっと残るのに、
すぐにいなくなってしまう風味がもう一口、と誘う



『俺もこの紅茶が一番好きだ』

「本当ですか?いちばん?」

『一番だ、思い出もある、本当だ』

「聞きたいです」


Aは相槌でも、
都合よく場を繋ごうとしてるわけでもなく
ただ単純に興味があるふうだ
子供みたいに燦然と目を輝かせた

俺は、この目に弱い
なんでも話したくなってしまう



『...大切な人と飲んだ思い出だ
小さくて雑なテーブルの上に、これとおんなじのが二つ並んで、
いやカップは割れ欠けの古びたやつだ
それを飲みながら、小さな夢を語り合った』


「どんな夢ですか?」


『その人と一緒にいること、とか、
そんなだったか』




「...本当に大事な人なんですね」

『、あぁ、自分よりずっと』


直接言えない代わりに
まるで人の話みたいに話した
視線を落としたカップの中の
澄んだ橙色は、まだ早い夕日みたいだ

顔を上げて、ふっと笑って伝える




『今日も、あの日と同じくらい美味しい』

「光栄です」


この香りと一緒に切り取られた記憶
写真みたいにもう一枚、
今パシャリとシャッターをきった


その中のAは穏やかに笑っていた

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レイ(プロフ) - 最高です!更新頑張ってください (2019年9月30日 21時) (レス) id: c196ca2279 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ナツキ | 作成日時:2019年9月16日 17時

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