４３話 不釣合いな表情と言葉 ページ43
シオンさんのバトルはすぐに終わってしまった。私はあんなに戸惑ったのにシオンさんにとっては当然のことをしているみたい。私も慣れたらこういうバトルが出来るようになるだろうか。
「くそっ……もう一回勝負だ……と言いたいところだが、生憎手持ちはもういない。くそー、覚えてろよ！ カナズミシティにもマグマ団の狙ったものがあるからな！ だから今日はこれぐらいにしといてやる！」
シオンさんがマグマ団と呼んだ男性はそう言い残すと颯爽と森の出口へと去っていった。白衣の男性は私たちにお礼を言って頭を下げる。……私は何もできていないのにお礼を言われるのはなんだかおかしい気がする。
「……って、アイツ今カナズミシティに狙うものがあるって……こうしちゃいられない！」
白衣の男性はハッとすると先ほどの赤い衣服を着こんだ男性の後を追うように森の出口へと走っていく。シオンさんは特にそれを気にする様子もなく、ただ小さく溜息を吐いた。それはきっと私の事についてだ。反射的にすみませんと声が出る。それでどこか気怠そうなシオンさんの目に私が映り込む。
「なんで謝るの？」
「だ、だって……私うまく戦えなくて」
「確かに初心者もびっくりの取り乱し方だったね」
「……ごめんなさい」
シオンさんの言葉がぐさりと刺さったように心に結構なダメージをうける。本当のことだから仕方ないし言い返せる立場でもないだろう。謝る事しか出来ない私にシオンさんはまた溜息を吐いた。先ほどよりも少し大きい。
「まず、そうやってすぐ謝る癖直したほうがいい……と思う」
「うっ……ごめんなさい……」
「ほら、また謝ってる。特に悪いことしてるわけじゃないのに。そんなに謝りたがるのは結構な変わり者だよ」
シオンさんが先ほど出したポケモンを撫でながらの言葉に俯いた。謝ろうと開きかけた口を閉じる。黙り込んだ私にシオンさんは棒付きの飴を一本差し出した。
「……え」
「あげる」
「ま、ちょ……だってさっきももらいましたし、そんなにもらえませんよ」
「さっきのは起こしてくれたお礼。これは……なんだろう、どんまい……みたいな」
相変わらず表情はあまり変わらない。だからこそ言っていることが不釣合いで思わず笑ってしまう。そんな私をシオンさんは不思議そうに見た後「謝るよりそうしてるほうがいい」と呟いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 78人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
miku(プロフ) - 橘 七美さん» これからどうなるかはまだわかりませんよ！ｗ (2015年1月28日 21時) (
レス) id: 38fa76f22b (このIDを非表示/違反報告)
miku(プロフ) - yukiさん» 有難うございます！ 現在明らかになっているのは、シオン君とアズサちゃん、それにリーダーという人物ですね。 デフォルトネームは「ナツミ」にしようかと思っています。まだ決定、というわけではないのですが； 更新頑張ります！ (2015年1月28日 21時) (レス) id: 38fa76f22b (このIDを非表示/違反報告)
橘 七美 - シオン君、夢主ちゃんとフラグかと思えばアズサちゃんっ子だった…！！ (2015年1月27日 12時) (レス) id: 175a080632 (このIDを非表示/違反報告)
yuki - mikuさん» ファイア格好いいです！ やっぱ、シオンさんとアズサさん関わりありましたか。 そう言えば、この夢主ちゃんの名前決まってるんですか？ 更新頑張って下さい！ (2015年1月27日 0時) (レス) id: 38fbdd3e2e (このIDを非表示/違反報告)
miku(プロフ) - yukiさん» お久しぶりです！ 有難うございます！ １番はファイアですか！ｗ オリキャラを好きだと言っていただけるとすごく嬉しいです！ 有難うございます！ (2015年1月26日 20時) (レス) id: 38fa76f22b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：miku
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/katudoutyu12/
作成日時：2014年11月22日 16時
