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「見つけましたよ大神せんぱーい!! 」
「うるせぇ!! こっち来んなアホォ!! 」
無事に午前を過ごし、昼食を取る前に用を足そうと教室を出たらこの有様である。人通りは多いが、持ち前の運動神経で器用に避けていく晃牙、それを追いかける少女基大神信者の二人組は最早学院では日常風景の一部となっている。
「ガミさん、今日も追いかけられてるねぇ〜」
「悪い子には見えないんだけどなぁ。何であんなに必死に逃げるんだろう」
興味津々と言った様子で笑顔を浮かべる橙髪の青年と、不思議そうな顔で二人を見る眼鏡をかけた金髪の青年。橙髪の青年がもう一人を振り返った。
「でもウッキ〜だっていっつも先輩から逃げてるじゃん」
「あ、いや、あの人は……。うん、逃げたくなるかも……」
金髪の青年―――遊木真は神妙な面持ちで頷いた。そんな二人の会話の間にも、野生動物の様な攻防は続いているのだ。
晃牙は中庭に出たところで少しだけ立ち止まった。膝に手をついて息を整える。やっと落ち着いてきたところ、ふと背後に気配を感じた。
「あっ、先輩こんなところにいらっしゃったんですねぇ」
「ダァァッ!! な、ホント何なんだよテメェはよ……」
「先輩、これ落としましたよ。ほらっ」
「あ? 」
大神信者が晃牙の目前に突き出したのは、彼の学生証だった。あまりにも急な展開に頭がついていかず、柄にもなくキョトンとしてしまう。
「もう、先輩ったら挨拶しようと思ったら急に逃げちゃうし学生証届けようと思っても急に逃げちゃうし……」
そこまで言ってあっと声をあげ、両手をパチンと叩いて、晃牙を輝きに満ちあふれた瞳で見つめた。まるで今浮かんでいる太陽のようである。
「もしや先輩は鬼ごっこがご趣味なんですか!? 可愛いですね〜、そんなところも好きです! 」
「はぁ!? 何がどうなってそういう結論になるんだよ!? 」
「え、違うんですか? 」
「違ぇに決まってんだろ馬鹿!! てめぇが毎日毎日神出鬼没でこっちは心臓が持たねぇんだよ!! 逃げたくもなるだろうが」
「そうでしたか……。あっ、ではこれから毎日24時間ピッタリ張り付いてます!! 」
「無理だろ」
「10mくらい後ろで……」
「ストーカーじゃねぇか!! それだったら今の方がまだマシ……」
慌てて口をつぐんだが、時すでに遅しである。大神信者は目をパチクリとさせ、見る見る内に花が咲いていく様に笑顔を浮かべた。
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作者名:超甘党人間☆ | 作成日時:2016年5月16日 14時