story.10 ページ10
*
「アーメン」
最後にそう言うと一同は友人と話たり帰ったり、自由に行動し始めた。
私は一刻も早く牛島くんから離れたくて、司祭様に挨拶もせず、外へ出た。
突き刺すような日差しが私を照らす。
「A！」
「なに」
「なんでここにいたんだ？」
「わかるでしょ？」
「お前はクリスチャンだったのか」
「そう」
私はまた歩き出した。
牛島くんは私の手首を掴んで、引き戻した。
教会の前なのに、騒ぎたくない。
牛島くんの大きな手が私を掴んで離さない。
こんな時だって言うのに、私の心臓が鳴り止まない。
「なんで隠してたんだ？」
「……から」
「なんだ？」
「引かれるから！」
大きな声を出した私に驚く牛島くん。
「クリスチャンだなんて言ったらみんな避けてくの！ アホらしいってバカにされる！ 異色の目で見られる！ だからだよ！ 私はっ、私を救ってくださった主やマリア様を恥じている、クリスチャンだなんて言えるわけがない！」
「別にいいだろう」
「なにがよっ」
「お前がクリスチャンだとしてもお前はお前だろう。それに」
牛島くんは一呼吸置いてこういった。
「宗教は生き方の選択だ、他の誰かがお前に文句をつける権利はない」
「じゃあ、牛島くんは私がクリスチャンでも引かないの？」
「ああ、むしろ言って欲しかった」
「……それどういう意味？」
言って欲しかった、なんて。
私は馬鹿だ。
こんな一言で舞い上がってる。
牛島くんは首をかしげて、こういった。
「教会に来なくても済んだから、この時間にバレーができたろう」
私はふっと笑って彼に言った。
涙が滲む。
嬉しくて、胸がきゅっとなって、やっぱり好きだって思った。
「バレー馬鹿」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 295人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
時雨彩(プロフ) - 鶴まじ天使さん» コメントありがとうございます！私も久しぶりに書いたこの作品をたくさんの方に評価していただいて本当に嬉しいです。ご愛読ありがとうございました！ (2019年8月15日 23時) (
レス) id: 8a1a36a2a7 (このIDを非表示/違反報告)
鶴まじ天使(プロフ) - すっごく良かったです！牛島さんと夢主ちゃんが微笑ましかったです(o^∀^o)時雨彩さんの作品はこの作品が初めてなんですがとっても良かったです！時雨彩さんのファンになっちゃいました！これからも頑張ってください！応援してます！！ (2019年8月15日 23時) (レス) id: 2390bd5229 (このIDを非表示/違反報告)
時雨彩(プロフ) - みずいろさん» コメントありがとうございます！牛島くんのかっこよさは表現しづらいので頑張りました笑、ご愛読ありがとうございます！ (2019年8月13日 22時) (レス) id: 8a1a36a2a7 (このIDを非表示/違反報告)
みずいろ - めっちゃいいお話で感動しました！牛島君のカッコよさが伝わってきてやばかったです笑笑これからも頑張って下さい！ (2019年8月13日 10時) (レス) id: 945c36f775 (このIDを非表示/違反報告)
時雨彩(プロフ) - 4696Loveさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけると嬉しい限りです。ご愛読ありがとうございます！ (2019年8月11日 16時) (レス) id: 8a1a36a2a7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
