【及川徹】重ねて、忘れて純愛【HQ】 (ページ26)

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及川side

本格的なハロウィンパーティーに驚きながらも、出てきたお菓子やケーキなどを楽しむ。

｢いやー！徹の完成度神だわ！！ねね、Twitter上げていい？｣

｢良いですけど、名前とかは出さないでくださいね｣

｢勿論！｣

そんな会話をしながらジュースに口を付ける。その時、ふと視界の端でAさんが研究室から出ていくのが見えた

｢………俺、ちょっとトイレ行ってきます｣

｢ほーい｣

先輩にはそう伝え、Aさんの後を追う
そしてトイレの前で待っていると、出てきた彼女が俺に気づいて声をかけてくれる

「どうしたの？トイレ？」

そんなふうに俺のことを見上げて聞くものだから、少し意地悪をしたくなった

俺は彼女の方に1歩近づき顎に手を添え、ゆっくりと上を向かせる。そして少し意地悪そうに微笑み、ハロウィンで定番のあの言葉を唱える

「Trick or Treat？」

すると彼女は驚いた様に目を大きくさせパチクリと瞬きをする。少しの間の後、

｢え、えっと、お菓子……だよね？ちょっと待ってね！｣

彼女は慌てたように持っていたトートバックの中を漁り、そして袋に包まれた小さなマフィンを差し出した。ケーキの上には小さなオバケがチョコレートで描かれている。

｢本当は後でみんなと一緒に渡そうと思ってたんだけど、貰って？……その、お口に合うかは分からないけど……｣

照れくさそうに言う彼女
俺は少しぎこちなくなりながらもお菓子を受け取る

｢……ありがとうございます。｣

何とかそうお礼を述べて微笑んだ

｢うん、ほら、教室戻ろう｣

｢はい｣

別に期待してたわけじゃない。

お菓子を持ってなければちょっとしたイタズラにキスでもしてやろうか……と密かに考えてはいた。

でも、それよりも

｢………嬉しい｣

彼女には聞こえない様な、とても小さな声で呟く

手作りのお菓子とか、高級なチョコとか。
差し入れやバレンタイン、勿論ハロウィンだって、今まで女子からは色々なものを貰った

勿論そのどれもが嬉しかったし、感謝してる。

でも、

この小さなマフィンひとつで今までに無いくらい、こんなに嬉しいなんて。

このお菓子ひとつでここまで心が踊るなんて。

自分でも不思議で、無意識のうちに顔がニヤける。

あぁ、そうか。

これは、、、アレだ

その感情の名前に気づいた俺はなんだが恥ずかしくて、無理やり他の事を考えた

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