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* スコッチ生存時のお話
* スコッチの本名は「緑川唯」とさせていただきます。
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今日はスコッチとバーボンとライで飲む約束をしている。
私はお酒は得意じゃないけれど、スコッチがどうしても私の部屋がいいと言うものだから仕方なく引き受けたのだ。
___ガチャ
「よぉ、シャルドネ!入るぞ!」
ドタバタと両手にビニール袋を持って、スコッチが入ってくる。
全く、私は静かに過ごしたいのに。
まぁ、時々はこういうのも悪くはないか。
そう自分に言い聞かせる。
スコッチがいると場が華やかになるのは事実だし、悪気がないのだから、こちらもなんとも言いようがない。
『…バーボンとライは?』
「あの二人ならー… 今頃また口喧嘩でもしてるんじゃないかー?」
『ホント使えないな、あの二人も。』
「あはは、シャルドネは毒舌だよなぁ。」
毒舌?なにそれ、嫌味?
一瞬そう思ったが、笑いながら言っているスコッチの顔を見るとどうしても憎めない。
そういうところがきっと、彼のいいところなのだろう。
「すまない、遅くなった。」
「ライ、お前があんなこと言うから…」
「はいはい、二人とも早く入って〜」
『ここ、私の部屋なんだからね。スコッチはすぐ自分の部屋みたいに扱うんだから。』
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その後はスコッチが用意したお酒を飲みながら、ひたすら口喧嘩(ほぼバーボンのせい)をしているライとバーボンと、その仲裁に入るスコッチを遠い目で眺めていた。
いつもは暗い私の部屋も、スコッチが来ると華やかになって。
バーボンとライだって、なんだかんだで仲がいいんだから、呆れてしまう。(バーボンに言ったら怒られた。)
いつまでも、こんな時間が続けばいいのに。
もしかしたら、心の片隅でそう思っていたのかもしれない。
いや、そう思っていた。
何気ない会話が、楽しくて、楽しくて。
いい三人組だ、そう思った。
私も、彼等の中に入れるだろうか、そう悩んでいた時もあった。
でも、スコッチは私も仲間に入れてくれた。
バーボンやライだって私を誘ってくれた。
素直に嬉しかった。
次会った時は、次会った時こそは、スコッチに、みんなに「ありがとう」と言おう。
いつも、誰もいない部屋でそう思っていた。
次こそは、次こそは。
そう思いはじめて、もう随分時間が経ってしまった。
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今日は花屋に行った。
花束を一つ買って、これからまたスコッチたちと会う約束だったから。
ありがとう。
そう言う前に、スコッチの笑顔は消えてしまった。
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作者名:紅月 | 作成日時:2018年3月6日 18時