【金カム夢】雪に拐かされ…２ (ページ5)

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感情の芽生えページ5

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私達は追跡から逃れる為に人目を避け、山道獣道を進む事になった。そこで山に詳しいアシㇼパを先導に月形の樺戸監獄まで向かう。

ㇼパ「見ろ杉元、トゥレㇷ゚タチリがいる。ヤマシギだ。
山菜を採りに行く女の季節になるとヤマシギはこの土地へやって来る。」

杉元「何か掘ってるね。虫でも探してるのかな？」

ㇼパ「エサを掘り出す長い嘴がアイヌの使うオオウバユリの根を掘る道具に似ているから“ウバユリを掘る鳥”と呼ばれている。」

杉元「美味いの？」

ㇼパ「脳ミソが美味い」

仲が良さそうにヤマシギを見ながらそんな会話をするアシㇼパと不死身の杉元を見て微笑ましく感じる。それと同時に胸の辺りが少しほわりとした柔らかい感じがして私は少し苦しく思った。胸の前を無意識に握り締めていた。

ㇼパ「おい！尾形やめておけ」

尾形「何でだよ。食うんだろ？」

そんな時、尾形さんが銃を構えてヤマシギを狙撃しようとしたのをアシㇼパに止められ尾形さんは不服そうにそう返した。

ㇼパ「一羽に当てられたとしても他のが逃げてしまう。ヤマシギは蛇行して飛ぶのでその銃の弾じゃ当てるのは難しい。
私達はヤマシギの習性を利用した罠を知っている。枝でヤマシギが通りたくなる通路を作ってくくり罠を沢山仕掛ける。罠なら皆の分も獲れる。」

尾形「フン…」

アシㇼパの言葉に少しムッとした様な雰囲気を纏いながら尾形さんは銃を収めた。
アシㇼパがくくり罠を仕掛けてその日は夜が更ける。

尾形「………。A…寝るぞ。」

『はい』

尾形さんにそう声をかけられて私は尾形さんの外套の中に入った。

杉元「え！？ちょ、ちょちょ！どうゆう事？！え？！そう言う事なの！？ねえ！！ちょっと！！」

尾形「うるせえな…」

すっぽりと私を抱き竦めた尾形さんが不機嫌そうに不死身の杉元に一言向けた。

『二人で旅をしているので夜は大抵この体勢です。
この方があったかいので、野営の時はこうしてますが可笑しいですか？』

牛山「嬢ちゃんたまに常識をどっかに投げ捨てるよな。」

『…寧ろ、常識には疎い方ではあります。その自覚は有ります。』

尾形さんの外套から顔だけを出してそう私が返答すると牛山殿が飽きれとため息混じりの声色でそう言った。

そんな事よりも私は先程の尾形さんのある一言が気になっていた。

A…尾形さんは確かに私を名前で呼んだ。その瞬間、心臓が騒ついた気がした。この感情は何だろう…

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