【金カム夢】雪に拐かされ… (ページ38)

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『…アナタが人を食べる理由は何ですか？』

家永「まあ！まあ！！それを聞いちゃいます！？
同物同治と言う言葉はご存知でしょうか？！」

私が質問すると嬉しそうに目を輝かせて家永殿の口からは次々と言葉が紡がれ圧倒された。
簡単にかい摘んでしまうと、「その人と同じような美しさ、強さが欲しいからその部位を食べる」のだと、そして「完璧に近付く為」なのだと…

牛山「何だ、家永に同物同治の話を聞けば止まらなくなるぞ？」

『牛山殿…』

まだまだ語り足りない家永殿が同物同治の良さについて語っている所に牛山殿が現れて呆れた様子で私の横に腰を下ろした。

『…私も人を食べた事があるからです。』

牛山「！？」

家永「まあ！それは本当ですか！？いつ！何処で！誰の！何人！どの部位を！どのようにして？！」

私の言葉に牛山殿は驚きの表情を浮かべ、家永殿は語るのを止めると私に詰め寄り、目を輝かせて詳細を求めて来た。

『ロシア兵に奴隷にされている時に
ロシア兵拠点、又は戦場で
同じ奴隷の子供達
生き残った五人を除く、七人分…
目、耳、鼻、脳、腕の筋肉、脚の筋肉、内臓…
その場で食べれそうな部分を奴隷仲間と分け合って生で…』

家永殿の質問に淡々と答える。

家永「まぁ…では、食べるきっかけはどう言った経緯で？」

『きっかけは……正雄の妹が訓練で死んだ時…その時私達は考える事も人としての当たり前も見失っていたんです。
最初にその行動を取ったのは正雄自身…死んで動かなくなった妹の身体をボロボロの刀で刻んで食べ始めたんです。食事も碌に与えられず、常に空腹の状態での訓練…マメが出来、潰れて痛いと泣いても殴られるだけ…
感情を殺し、言われた通りの言動しか許されず…与えられたモノに文句を言わずに…擦り減った心でダメだと頭の片隅で思いながらも、正雄に続いて私達も正雄の妹の肉を喰らいました。』

ツラツラと事務的に言葉を紡ぐ私に二人の表情は驚きや哀れみへところころ変わった。

家永「…その後の子達も同じ理由で？」

『…いえ、多分ですけど私達にとって、それが弔う事だったんです。
やり方も、間違いを正す人も、正解を教えてくれる人もいない。
訓練でも人を殺してました。死んだ子達も人を殺した。その子達の業を生き残った私達が背負うと言う意味で…
死に際に世界が見たいから目を食べてくれと言う子がいました。他にも＿＿＿……』

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