【金カム夢】雪に拐かされ… (ページ25)

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お見舞いページ25

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私は尾形上等兵のお見舞いに来ていた。
色々あって見舞いに来れたのは今回が初めてである。顔や腕、至る所に包帯が巻いてあるが今は小さく聴こえる寝息に、目の前で生きている事に私は安心した。

『生きてる…良かったぁ……』

怪我の所為でたまに起きて食事をしてまた眠るを繰り返しているらしい。
無精髭が伸びているのを見て少しの好奇心で思わず指先でｼﾞｮﾘ…となぞると「ん…」と身動ぐ尾形上等兵に手を引っ込めた。ゆっくりと瞼が開き、思わず私は前のめりに尾形上等兵の顔を覗き込んだ。

『尾形上等兵殿…』

尾形「んぁ…藤見か……」

『ｯ…ご無事で、何よりです』

何とも言えない物が胸に込み上がって来て上手く笑えないながらも私は精一杯の笑顔を尾形上等兵に向けた。

尾形「…何で泣きそうな顔してるんだ」

『尾形上等兵殿が大怪我したからです』

尾形「俺を心配してたのか」

『はい、凄く心配しました』

私の顔を見て訊ねてくる尾形上等兵の言葉に素直に答える。

尾形「…そんなに俺が気になるのか」

『はい、気になります』

尾形「…俺の側にいても良い事なんてないだろう」

『損得ではありません。私が尾形上等兵殿の側にいたいからです。』

私の言葉に尾形上等兵が息を呑むのが分かった。

尾形「なら、俺と一緒に行くか？」

『？何処にでしょうか』

尾形「…明日、この時間にここに来い。」

『明日…すみません。この後鶴見中尉殿と共に刺青囚人である辺見和雄が潜伏しているニシン漁場に向かいます。
帰って来るのに少し日数が掛かるかと…』

尾形上等兵の言葉に少し考え込むも、鶴見中尉の命と被る為私は断った。

後に、この時の事を後悔するとも知らず…

尾形「……そうか。鶴見中尉殿の命なら仕方がない。
俺は、もう少し眠る……」

『はい、おやすみなさいませ。』

何か言いたそうに少し口が開いていたが、納得した様に視線が天井を向き、話し終えた尾形上等兵は眠そうに瞼が重くゆっくり閉じていった。

尾形上等兵が眠ったのを確認してからできるだけ音を立てずに部屋を出た。

ーーーーー

鶴見中尉と共にニシン漁の親方の豪邸へと来ていた。

私は漁場等を見て回っていた。途中、親方の豪邸から銃声が響くのを聴き駆けつけたが既に交戦は収集した後だった。

そして、その夜…

「鶴見中尉殿、尾形百之助上等兵が病院から消えました。」

その会話を建物の陰から聞いて思わず息が詰まった。

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