【金カム夢】雪に拐かされ… (ページ24)

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すれ違い様ページ24

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馬の蹄が遠ざかって行くのを聴きながら私は銃弾の雨を掻い潜り一人の男の首に銃剣の刃を突き立てた。

「ぐふｯｯ…！？」

『ｯ…』

一瞬、お父さまの顔が頭の中にチラついた。

そんな時、少し遠い場所で爆発音が響いた事に私は眉を顰めた。

その後、鶴見中尉が到着しもう一人の男を射殺。
二人の男の遺体の服を脱がし鶴見中尉は刺青の確認をしている。

月島軍曹の報告を聞き、鶴見中尉は何かに気付いた様子だった。

鶴見「…金融街か。こっちの騒ぎは陽動作戦。
狙いは銀行だ。」

鶴見中尉は相手の狙いを突き止めるとすぐ様馬に乗り銀行へと向かった。

月島「藤見！お前も鶴見中尉殿を追って銀行に向かえ！
この中で一番身軽で足が速いのはお前だ！行け！」

『了解致しました！』

月島軍曹の言葉を聞きすぐ様駆け出した。
鶴見中尉が乗った馬の蹄の音を頼りに街の中を走った。

ーーーーー

もうすぐ銀行に着きそうだが、流石に街中を走りっぱなしは疲れ、息が上がっていた。
そんな時、鶴見中尉の声が聞こえた。

鶴見「土方歳三！！」

ドンッダァンッ

二発の音の違う銃声が響く。
でも、私は別の事に目を見開いた。

『え……土方歳三…？
………お祖父様…？』

鶴見中尉の口から発せられた名前に、目の前の馬に乗った白髪の老人に思わず視線が吸い込まれる様に外せなくなった。

突然、ガクッと足の力が抜け前によろめいた。

スパッ

私の頭があった場所を刃が通り過ぎた。
軍帽は斬れたが私自身は無事だった。

「ふん、運が良かったな。」

過ぎ去って行くすれ違い様にそう言った土方歳三の顔を私が見れば、一瞬であったが土方歳三の目が見開かれた気がした。

鶴見「幕末の亡霊…いや……
この世に怨みを残した悪霊めが」

土方歳三の落としていった帽子を被りながら鶴見中尉は忌々しげにそう言った。
私は斬られた軍帽を抱きしめながら息を整えた。

生きていた…
死んだと思っていたお祖父様が生きていた。

殺されそうになったが、そんな事よりも自分の血筋がいる事に嬉しくなった。

私は…一人じゃなかった。
まだ、お祖父様が生きてた…

母方の祖母は私が奴隷になる前に亡くなっていた。
父方の祖父母は心労で、両親も兄ももういない。
叔父は私の手で殺した。

血縁関係の存在に私は少し希望が見えた気がした。

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