【金カム夢】雪に拐かされ… (ページ22)

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脱走劇ページ22

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程なくして私は目を覚ました。
辺りが騒がしくなり、ベッドから起き上がる。

「不死身の杉元が…腸(はらわた)が…もう…」

『！不死身の杉元殿が…ｯ』

部屋の外から聞こえて来た言葉に目を見開いた。
私はベッドから飛び出ると鶴見中尉を探した。

「あ！藤見さんまだ横になっていないと…」

『すみません！今それどころではないんです！』

駐在している医者の言葉を振り切り、私は駆けた。

先程の部屋に戻ると鶴見中尉と二階堂一等卒の遺体が転がっていた。
思わず息を呑む。

『ｯ…鶴見中尉殿』

鶴見「藤見、君はまだ休んでいなさい」

『いえｯ、寝てられません！不死身の杉元殿は…彼はどうなりましたか？！助かりますか？！』

部屋の中にいる鶴見中尉に声を掛けるとこちらを振り返った鶴見中尉の目が少し見開かれた。

鶴見「…何故、そんなに気になる？」

『思い出したんです！戦場でのあの声は…私を正気に戻してくれたあの声が不死身の杉元殿だったと！
彼は “私の恩人” です！お願いします！重症ならば医者に！』

鶴見「…安心しなさい。彼は今この街で一番の医者の元に送った。」

『そぅ、ですか…良かった』

勢いに任せて鶴見中尉に詰め寄った私は鶴見中尉の言葉に安堵して壁に寄り掛かりながら座り込んだ。

そんな私を見てから鶴見中尉の視線は床に転がる二階堂一等卒に向けられた。
その視線は何か探っている様だった。

鶴見「……妙だな。……防御創…左手は無傷……こんな手で杉元と刺し違えられたのか？………むむむ？……帯革の裏側まで血濡れた指紋……」

『…？鶴見中尉殿、如何されましたか？』

二階堂一等卒の遺体を確認している鶴見中尉の額当ての下からドロリと汁が垂れた。
そして、何を思ったのか二階堂一等卒の遺体の服を脱がし始めた。

『！これは……』

鶴見「不死身の杉元め…腸(はらわた)を盗みおった」

切り裂かれた腹からこぼれ落ちる臓物…二階堂一等卒の遺体の服の下は血濡れていた。
鶴見中尉はすぐ様駆け出し、不死身の杉元を乗せた馬橇(ばぞり)を馬で追いかけた。

『あっ…鶴見中尉殿！』

流石に馬の足に追い付く自信はない。
この瞬間私は迷った。

鶴見中尉殿に不死身の杉元殿を殺さないでと懇願するのか、否か…

それゆえに言葉が喉に引っかかって出てこなかった。
自分はどちら側なのだと、問う自分がそこにいる気がした。

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