【金カム夢】雪に拐かされ… (ページ2)

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身語りページ2

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『＿＿＿＿＿…それから私は、いえ親を自分の手で殺めさせられた子供はロシア兵の奴隷になりました。』

目の前に座る額当てをし、目元に傷がある男…鶴見中尉に私は今までの生い立ちを話している。

隣の部屋には第七師団の方々も居て私の話を静かに聞いていた。

『当初奴隷になった子供は私を含めて12人いましたが、私達を殺人兵器にしたいロシア人に厳しい稽古をつけられて何人か稽古中の怪我が原因で死にました。そして、稽古で生き残っても戦争で数人死んでしまいました。
最終的に生き残ったのは私を含めて５人…私と日本人の男の子、中国人の女の子、フランス人の男の子、アメリカ人の男の子でした。』

鶴見「奴隷となっていた間の境遇はどういうものだったのかね」

『ｯ…』

鶴見中尉の質問に思わず息が詰まった。

『境遇は……最低でした。
兵士達の食べ残された残飯を漁り、ぼろぼろで捨てられた軍服を投げ渡され…泥水や雪で喉を潤してました。
生き残る事に必死で、自分の身を守る事しか考えられず…同じ境遇の者と馴れ合う事は一切ありませんでした。』

言葉にして、あの頃の光景が瞼に浮かんで見えた。

今思えば食べ残された残飯も兵士達の可哀想な子供への施し、ぼろぼろの軍服も寒さを凌げるようにとわざと刻んでる人もいた。

それでも、私達を管理していたロシアの軍人は私達に施しを与えた兵士に罰を与え、私達はボロ小屋に５人身を寄せ合って夜を過ごした。

まさに『地獄』と言う言葉が当てはまる環境だった。

『あ、本当に最初の頃…少しですが、挨拶を交わしました。
名前を名乗る程度でしたが…』

親を失い、家族を失った子供だけがボロ小屋に押し込められた時に中国語、フランス語、英語を習っていた私は簡単な単語だけでみんなの名前を聞いて教え合った。

子供達で会話したのはその時だけだった。

『そんな時に日露戦争が始まり、私達も戦争に駆り出されました。
碌な武器も与えられず…折れた剣か火かき棒くらいしか与えられず、銃弾が飛び交う戦場を必死に駆けずり回りました。』

死にたくない一心で折れた剣と鉄の棒を振り回していた。

殺した敵兵の武器を奪い、見様見真似で銃を放った事を思い返す。

弾が無くなれば、銃剣を振り回して敵に一撃を喰らわせた。

ロシアの軍人に私達は洗脳されていた。

いや、そうせざるを得なかったんだ。

そうしなかったら私の心は既に折れていたから…

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