【伊/東/歌/詞/太/郎】 秘 蜜 。【学/パ/ロ】

あの、先生。 ページ7

「天野さん大丈夫？」


眠そうな顔して心配そうに言ってくれるそらる先生は、白。



…つまり、優しい側の人間。
私に対する対応だって、みんなとあまり変わらないから……あ、

……補足、一人にだけ対応が特別。


もともと動物好きな人は性格いいひと多いから、猫とじゃれていた時点で決まっていた。

特別な一人も猫が好きみたいだけど、じゃれているのは見たことがなかった。



「つか丸聞こえだったんだけど……あいつ(上原)ってばかなの？」



教師、という立場でありながら容赦なくそう言う先生にくすり、と笑う。


こういう人は、嫌いじゃない。

きっと上原さんがこの場にいても、この言葉を言ってたと思うから。


「それを狡猾(こうかつ)と思うかばかと思うかは……人それぞれだと思います」




「…！…そっか」


失礼します、と頭を下げて、教室に向かった。


うん、遅れないようにね、と微笑んでくれたそらる先生に、すこし興味が沸く。





そらる先生は、確か数学。








……次は、






……なんだっけ。






*****




「さよーなら！」

「ばいばーい、また明日ね！」

「あっ、藍音ちゃん！一緒にかえろう！」



ガヤガヤと煩くなる教室、ひとつひとつ丁寧に教科書類をカバンに入れて、やっと立ち上がった私は一人、廊下を歩いていた。


長くなってきている陽は傾いていて、カラスが遠く鳴く声が聞こえる。




「……あ、歌詞太郎ちゃーん！ばいばいっ」

「はい、明日ね」


最後までべたり、とくっつく上原さんと、それを引き剥がそうとする下岡さん。



…ずいぶんめんどくさい交友関係だね。

ああいう交友関係しか結べないなら、一人でも……いや、一人のが絶対気楽だ。





「……あ、天野さん！…そらる先生にきいたんだけど…」


上原さんたちと離れて歩いていた私に気づくと、伊東先生はこちらにかけ寄ってきた。



「…あぁ、科学のあとの。お陰さまで、ショックはありませんでしたよ。忠告ありがとうございました」




「…はは、ばれてたか」


天野さんも頭いいもんね、と笑う伊東先生は、思い出したように私に聞いてきた。



「そうだ



　








　………__ねぇ、天野さん」








「……っ…」






先生がその形のいい唇から言葉を発すると、


一瞬で、周囲の温度がひんやりした気がした。









「……天野さんは、先生のこと好き？」






　

*****
あれイノコリ先生臭が……違うよ(必死)

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