【伊/東/歌/詞/太/郎】 秘 蜜 。【学/パ/ロ】

あの、先生。 ページ6

「じゃー、ここ……上原さん！」


「ふがぁっ！？やば、えー、と…」



寝ていた上原さんを当てた先生はにこにこと笑っている。……わざとだな。


「…あ、はは…きーてませんでした！」

「もう…しっかりきいてね」

上原さんは明るいから、若干ふざけた対応をしても大体は流される。

ずるいけどあの子も素だから…
わざとらしくないから、ついつい許しちゃうんだろう。


「…じゃ代わりに天野さん」

「……はい」


なんでそこで私…そこで寝てる男子当ててよ。
……そういえばこの人男好きって噂あったっけ。


「……___です」

「うん、正解！上原さんも見習ってよねー」

「うへへ、すいませーん！」


釘を刺されてなお笑う上原さんは、私が席に座ったときからじっとこちらを睨んでいた。




*****





「……ねーえ、天野ちゃん！ちょっとい？」

科学が終わって、教室から出たところで上原さんが私を待っていた。
……こわ。


「………はい」



前を行くライトブルーのパーカー。


………すごく、嫌な予感がする…。
伊東先生が忠告したときと同じ、嫌な感じ。




立ち止まった上原さんが振り向く。



「率直にゆーね、






　





　




　





　




　





　





　





　



　




　






　
　調子のんなんでもらっていい？」






にっこりと笑う顔からは、その狂気が見え隠れしていた。


「…え」

「そりゃ私が寝てたのが悪いけど、普通あそこは空気読んで答えないでしょ。
　優等生アピ？いらな」



……この人なにいってるんだろう…

当てられて答えるのは当然だし、寝てる自分が悪いって分かったのに…
なんでこの状況がただの八つ当たりってことには気づかないの？


こくり、と頷きながらも心ではそうつっこむ。


波風、立てたくなかった……といっても私はこういうことには巻き込まれる体質。

去年だってそうだった。それが高じただけの結末。


……ひどかったな。


私が悪いのか、これ。悪くないよね。帰っていいかな？

いまだ目の前でぐちぐち言っている上原さんにそう問いかけようとすると、


突然。






　




　




　




　




　
「…あれ、何やってんの？もうすぐ授業始まるけど」








……この人、たしか




「……あっそらる先生！ごめんねーっ、天野ちゃん！」







全く変わって明るい顔でいう上原さんが

いかにも“人間”で、






利己的なこの人に触れられた手が、





異常に汚ならしく見えてしまった。

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