あのね、先生。 ページ33
「な、なに！！？
教育委員会やら何やらがついてますし……！
まず、その事実は犯罪に成りうるんですよ！？」
「嘘…」
「うちの娘の気持ちは！？」
「なんなのこの学校！？きちんと教育してらして…！？」
「うわあぁん！ママぁ……！」
収拾がつかないここにいる必要性はあるのだろうか？
話すことは話した。先生だって話した。今こいつらは話してなくて喚いているだけ。
私は隣にいる先生の袖を引っ張った。
「先生、」
「……ん？」
「先方が頭を冷やしてからもう一度って訳にはいかないんですか？」
できる話もできないですよね、と向こうを見れば、私たちになんか目もくれず、何処かへ連絡しようとする下岡の母を学年主任が止めていた。
「……それが正しいのかもね。
けど」
肩に手をぽん、と置かれて、にっこりと微笑む。
「終わらせられる話はまだある」
分からないけど、私も笑いかけた。先生がいれば、きっと大丈夫。
「なら、終わらせちゃいましょうか」
終わりに不安はない。
いくらか落ち着きを取り戻した室内に、私の声が響く。
開き直るんでもなくて、どれだけ真剣か語るんでもない。短いけど、大事なこと。
「私は今までこの気持ちに気付けていなくて、今こうして気づけました。これが私の運命で、何を理由にしても諦めたくない」
「気付かせてくれてありがとうございました」
「……あ、まの……」
頭を下げる私に呆然とした声で投げ掛ける上原。
あんたがいなかったら私はまだイイコだったかもね？
「必要であれば中退の準備もします。
別校に入っても統一テストなんかで名前は見るだろうし」
「！！」
学年主任が分かりやすく反応する。
それもそのはず、この高校の偏差値を救ってるのは自慢じゃないが私の力も大きい。
将来が成功するとして、私はこれから編入するかもしれない高校の名前を大きくする。歴の問題もそうだし。
「……それは今じゃなくていいだろう」
「僕が退職、という形ですか？」
学年主任は頷きかけ、しかし立ち上がった上原と下岡によってそれは止められた。
え、なにしてんのあんたら。
「無理だめ！！」
「藍音ちゃんと私の影響力なめないでくださいよぉ？」
皮肉にもこの猛烈なファン二人と、「別の場所で二の舞をさせたくないわ」という親が結果的に味方になって、私と先生は離れずに済んだ。
はっぴー、えんど？なのか？？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 183人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
梅星饅頭(プロフ) - はまぐりさん» お返事とてつもなく遅れてしまい申し訳ありませんでした…！コメントありがとうございます、表現の仕方すごく気を遣っていたのでそう言っていただけて嬉しいです…;; 次回作、引退作だと思われますのでお付き合いいただけると幸いです。最後までありがとうございました! (2018年5月26日 18時) (
レス) id: baf07f2d20 (このIDを非表示/違反報告)
はまぐり - 完結おめでとうございます。心情や表情、登場人物の考え方の表現がとても綺麗で読んでいて、ドキドキしました。作者様、更新お疲れ様です。次回作を楽しみに気長に待ってます！ (2018年2月13日 22時) (レス) id: 7ecf9aae1c (このIDを非表示/違反報告)
梅星饅頭(プロフ) - りょうさん» そうだよな僕もよく分からん(？) まぁ僕たちじゃなくて夢主ちゃ達がハッピーエンドだと思ってるからそれでいい(おい) ありがとうぅぅりょうくんやべぇ可愛い僕も好きだよ(＾ω＾) 次作も頑張るぜ〜コメントありがとうございました( *´ー`)ﾉｼ (2018年2月5日 19時) (レス) id: baf07f2d20 (このIDを非表示/違反報告)
りょう - 梅星饅頭さん» 完結おめでとうございます！ハッピーエンドなのかどうかよくわからない俺氏←表現力と、描写、行間がめっちゃ綺麗で大好きな作品だった！アッ、ちゃんと今も兄者もこの作品も大好きだよ((兄者イケメン（＾ｕ＾）←次回作も期待しておりますっ！！ (2018年2月5日 18時) (レス) id: 577a2fae95 (このIDを非表示/違反報告)
梅星饅頭(プロフ) - 夜雨さん» ありがとうございます…！完結後に初コメもらえるのとても嬉しいです、うわぁやった僕も読んでくださる方々のことこの世の言葉全部でも足りない位すきです(はぁと)(ごめんなさい) 次作も頑張らせていただきますρ(・・、) コメントありがとうございました( *´ー`) (2018年2月4日 20時) (レス) id: baf07f2d20 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：梅星 | 作成日時：2017年10月10日 19時
