【伊/東/歌/詞/太/郎】 秘 蜜 。【学/パ/ロ】

あの、先生。 ページ4

「えーと、もうチャイムなる…………鳴ったね」


言葉の途中でチャイムが鳴って苦笑いを溢す先生に、皆笑う。


かわいい、なんて言って。






「じゃあ、自己紹介かな？
　…はじめまして！僕は伊東歌詞太郎、伊東先生って呼んでね！」




歌詞太郎、とは呼ばれたくないのかな。
なんとなくそう思ったけど、多分みんな分かってるはず。

いやだってわざわざ避けてるんだし。





「えっと、みんなも自己紹介してほしいから…
　名前と誕生日、一言言ってってくれる？」



………うわ、でた。
知ってたよ。いわゆる出席番号順…中学からずっとそう。私が一番最初に発言しなくちゃいけない。





止まっているわけにもいかないので、さっと立って静かに言った。





「_天野Aです。誕生日は７月２５日、一年間よろしくお願いします」




「そっか、天野さんね、よろしく！」



伊東先生に、にこりと笑いかけられ、
けっ、と思いつつもぺこりと会釈を返して席に座った。





順番は巡って、藍音さんのとき。






「上原藍音でーす！誕生日はねえ、わすれた！みんなよろしく！あ、あと歌詞太郎ちゃんも！」



　




　









_____え？



教室が明るい爆笑に包まれるなか、伊東先生は一瞬、目を鋭くした。



みんな上原さんの方をみていて、上原さんもみんなをみているから、私しか見てなかったみたいだけど。





「こら、伊東先生でしょ」




…口調こそ柔らかいものの、声には棘が含まれていたような気がした。

昨日の声を聞いた私からすれば、だから、
別にみんなからは何ら変わらない声に聞こえたんだろう。
　







でも、わざと避けていた呼び名を躊躇いなく言うとか………幻滅、したかも。


いい人なんだろうなと思っていたけど……ないな。






まぁ、そんな彼女とも一年でサヨナラだし



一年なんて、







息をすってはいてれば、
あっという間に経っていく。






　









　
__そういえば、あのあと上原さんには


よろしく、なんて、伊東先生言ってなかった。







　









　






　




ちょっとだけ。








　

日のよく当たる上原さんの場所とは違う
廊下のひんやりとした空気が足にあたるような薄暗い場所で





人より優位に立てている気がしてしまった自分が、どうしようもなく嫌いになった。





　



*****
余談です
某少女漫画雑誌買ったよ……AtRのイラスト神。
あの人の作品だけは少女漫画離れしてからも見てる

あの、先生。→←あの、先生。

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